新編唱歌集 全

朝鮮総督府編纂 新編唱歌集 全
大正三年三月十三日印刷
大正三年三月十五日発行
大正三年五月二十五日再版
朝鮮総督府
総務局印刷所印刷
定價 六銭



総頁数 89頁
緒 言
目 録
第1篇〜第3編


第一篇 君がよ
      一月一日
      紀元節
      天長節
      勅語奉答
      卒業式
      雁
      兎と亀
      オ月さま
       ヒライタヒライタ
      タコ
      日ノ丸ノ旗
第二編 モモタロウ
      サクラ
      花咲爺
      親の恩
      時計
      富士山
      春が来た
      子馬
      田植
      鶴
      師の恩
      運動会(一)
       運動会(2)
      あさがお
      菊
      秋の山
      雪の朝
      正直
      二宮金次郎
      職業
      勤倹
      養蚕
      同胞すべて七千萬

第三篇   雁  (第二編「雁」ノ朝鮮語訳) (朝鮮歌)
      兎亀 (第二編「兎と亀」ノ朝鮮語訳)
      第二編「ヒライタヒライタ」ノ朝鮮語訳
       紙鳶
       時計 (第二編「時計」ノ朝鮮語訳)

注 第三篇中、「朝鮮歌」「ヒライタヒライタ」の題名はいずれもハングル表記。

   
緒 言
一 本書ハ、普通學校其ノ他、諸學校ノ唱歌科教授用書ニ充ツルモノナル。
二 本書ハ之ヲ三編ニ分チ、第一篇ニハ儀式ニ關スル唱歌、第二編ニハ一般ノ唱歌、第三篇ニハ朝鮮語唱
  歌ヲ収メタリ。
三 教師ハ各編ノ唱歌ニツキ、其ノ難易ヲ測リテ、適宜、之ヲ各學年ニ教授スベシ。歌フコトヲ授クル前
  ニ、必ズ歌詞ノ意味ヲ略説スベシ。
四 一篇ノ歌詞ニハ歴史的假名遣ヲ用ヒ、讀ミ難キモノニハ、傍ニ表音的假名遣ヲ附記シ、第二編ニハス
  ベテ表音的假名遣ヲ用ヒタリ。
五 本書ニ於イテハ普通樂譜ト數字譜トヲ併記セリ。

   大正三年三月               朝 鮮 総 督 府


   
第一篇

君がよ

君(キミ)がよは
ちよにやちよに
さざれいしの
いはほ(イワオ)となりて
こけのむすまで。


一月一日(イチガツイチジツ)
年(トシ)のはじめの           例(タメシ)とて
終(オワ)りなき世(ヨ)の          めでたさを、
松竹(タツタケ)たてて          門(カド)ごとに、
いはふ(ワウ)今日(キヨウ)こそ    たのしけれ。」
初日(ハツヒ)のひかり            さしいでて、
四方(ヨモ)にかがやく            朝(ケサ)のそら、
君(キミ)がみかげに             比へ(タグエ)つつ、
仰(アオ)ぎ見るこそ           たふ(トウ)とけれ。」


紀元節(キゲンセツ)
千代(チヨ)に八千代(ヤチヨ)に   ゆるぎなき、
國(クニ)の御(ミ)はしら        立(タ)てましし、
高(タカ)き御(ミ)いつを        仰(アオ)ぎつつ、
祝へ(イワエ)もろ人(ビト)       今日(キヨウ)の日(ヒ)を。」
天(アメ)と地(ツチ)との        きは(ワ)みなき、
君(キミ)の御位(ミクライ)       定(サダ)まりし、
遠(トウ)き昔(ムカシ)をしのびつつ、
祝ヘ(イワエ)もろ人(ビト)       今日(キヨウ)の日(ヒ)を。」


天長節(テンチヨウセツ)
今日(キヨウ)の吉(ヨ)き日(ヒ)は   大君(オウギミ)の、
うまれたまひ(イ)し            吉(ヨ)き日(ヒ)なり。
今日(キヨウ)の吉(ヨ)き日(ヒ)は   御(ミ)ひかりの、
さし出(デ)たまひ(イ)し           吉(ヨ)き日(ヒ)なり。
ひかり遍(アマ)ねき             君(キミ)が代(ヨ)を、
いはへ諸人(ワエモロビト)          もろともに。
めぐみ遍(アマ)ねき            君(キミ)が代(ヨ)を、
いはへ諸人(ワエモロビト)          もろともに。


勅語奉答(チヨクゴホウトウ)
あな、            たう(トウ)としな、
大勅語(オウミコト)。   みことの
趣旨(ムネ)を       心(ココロ)に刻(エ)りて、
露(ツユ)も         そむかじ、
朝夕(アサユウ)に。    あな、
たう(トウ)としな、     大勅語(オウミコト)。


卒業式(ソツギヨウシキ)
朝夕倦(アサユウウ)まず勵(ハゲ)みたりし、
しるしは花(ハナ)と咲(サ)き出(イ)でたり。
めでたき今日(キヨウ)のよろこびを、
我等(ワレラ)も供(トモ)に祝ひ(イワイ)まつる。」
みめぐみ深(フカ)き師(シ)のみを(オ)しへ(エ)、
心(ココロ)に彫(エ)りて身(ミ)をば立てん。
年月長(トシツキナガ)く睦(ムツ)びし友(トモ)、
よしみはいかで忘(ワス)らるべき。」
とまるも去(サ)るも、ひとしく皆(ミナ)、
同(オナ)じき庭(ニワ)のまなびの友(トモ)。
いざいざ、供(トモ)に聲(コエ)を合は(アワ)せ、
祝は(イワワ)ん祝へ(イワエ)、今日(キヨウ)のよき日(ヒ)。」


     
第二編

(カリ)
カリカリワタレ。
オウキナ雁(カリ)ハサキニ、
チイサナ雁(カリ)ハアトニ、
ナカヨクワタレ。


オ月(ツキ)サマ
オトウサン、オカアサン、
ハヤクデテ ゴランヨ、
オ月(ツキ)サマガ  デマシタ。」
マルクマルク、 マンマルク、
マリノヨウニ  マンマルク、
モリノ上(ウエ) ニデマシタ。」


(ウサギ)と龜(カメ)
モシモシ、カメヨ、 カメサンヨ、
セカイノウチニ、  オマエホド、
アユミノ、ノロイ  モノハナイ、
ドウシテ、ソンナニ、ノロイノカ。」
ナントオッシャル、 ウサギサン、
ソンナラ、オマエト、カケクラベ、
ムコウノ小山(コヤマ)ノ フモトマデ、
ドチラガ、サキニ、 カケツクカ。」
ドンナニ、カメガ  イソイデモ、
ドウセ、バンマデ、 カカルダロ、
ココラデ、チョット 一(ヒト)ネムリ。
グウグウグウグウ  グウグウグウグウ」
コレハネスギタ、  シクジッタ。
ピョンピョンピョンピョン  ピョンピョンピョンピョン
アンマリオソイ、  ウサギサン、
サッキノジマンハ、 ドウシタノ。」
(教科適用幼年唱歌)


ヒライタ ヒライタ
ヒライタ、   ヒライタ。
ナンノハナガ  ヒライタ。
レンゲノハナガ ヒライタ。
ヒライタト   オモッタラ、
ミルマニ    ツボンダ。」
ツボンダ、   ツボンダ。
ナンノハナガ  ツボンダ。
レンゲノハナガ ツボンダ。
ツボンダト    オモッタラ、
ミルマニ     ヒライタ。」
(教科適用幼年唱歌)


タコ
タコタコアガレ。      風(カゼ)ヨクウケテ、
雲(クモ)マデアガレ。  天(テン)マデアガレ。
アレアレ下(サガ)ル。  ヒケヒケ糸(イト)ヲ。
アレアレアガル。     ハナスナ糸(イト)ヲ。」


(ヒ)ノ丸(マル)ノ旗(ハタ)
白地(シロヂ)ニ赤(アカ)ク   日(ヒ)ノ丸(マル)ソメテ、
ア、ウツクシヤ、          日本(ニホン)ノ旗(ハタ)ハ。」
朝日(アサヒ)ノノボル      勢見(イキオイミ)セテ、
ア、イサマシヤ           日本(ニホン)ノ旗(ハタ)ハ。」


モモタロウ
モモカラウマレタ   モモタロウ、
キハヤサシクテ、   チカラモチ、
オニガシマヲバ     ウタントテ、
イサンデイエヲ     デカケタリ。」
ニッポンイチノ     キビダンゴ、
ナサケニツキクル   イヌトサル、
キジモモロウテ、   オトモスル、
イソゲモノドモ、    オクルナヨ。」
ハゲシイイクサニ、  ダイショウリ、
オニガシマヲバ     セメフセテ、
トッタタカラハ     ナニナニゾ、
キンギンサンゴ    アヤニシキ。」
クルマニツンダ    タカラモノ、
イヌガヒキダス、   エンヤラヤ、
サルガアトオス、   エンヤラヤ、
キジガツナヒク、   エンヤラヤ。」
(教科適用幼年唱歌)


サクラ
ノベニ、ヤマニ、   サクラノハナガ、
サイタ、サイタ、   キレイニサイタ。
ハナノシタデ、    オウゼイアソブ、
ウタヲウタイ、    オニゴトシタリ。」
ヒラリ、ヒラリ、   キレイナハナガ、
チルヨ、チルヨ、   サクラノハナガ。
カタノウエニ、    アタマノウエニ、
トマルハナハ、    カエリノミヤゲ。」
(教科適用幼年唱歌)


花咲爺(ハナサカセジジイ)
正直爺(シヨウジキジジイ)が灰(ハイ)まけば、
野原(ノハラ)も山(ヤマ)も    花(ハナ)ざかり。
人人大層(ヒトビトタイソウ)    よろこんで、
じじいをほめて           金(カネ)をやる。」
意地悪爺(イヂワルジジイ)が灰(ハイ)まけば、
目鼻(メハナ)も口(クチ)も    灰(ハイ)だらけ。
人人大層(ヒトビトタイソウ)    はらを立(タ)て、
じじいを訴(ウツタ)え       しばらせる。」


(オヤ)の恩(オン)
軒(ノキ)に巣(ス)をくう     燕(ツバメ)を見たか。
雨(アメ)の降(フ)る日(ヒ)も   風吹(カゼフ)く日(ヒ)にも、
親(オヤ)は空(ソラ)をば     あっちこっち飛(ト)んで、
蟲(ムシ)をとって來(キ)て   子(コ)にたべさせる。」
ひよこ育てる            牝鷄見(メンドリ)たか。    
ここここここと            子供(コドモ)を呼(ヨ)んで、
庭(ニワ)の隅(スミ)やら     はたけの中(ナカ)で
餌(エ)をば探(サガ)して    子(コ)に拾(ヒロ)わせる。」


時計(トケイ)
時計(トケイ)はあさから       かっちん、かっちん。
おんなじひびきで、          うごいて居(オ)れども、
ちっともおんなじ           所(トコロ)をささずに、
ばんまでこうして、          かっちんかっちん。」
時計(トケイ)は晩(バン)でも    かっちん、かっちん。
我等(ワレラ)が寝床(ネドコ)で、 休(ヤス)んで居(オ)る間(マ)も、
ちっとも休(やす)まず、       息(イキ)をもつがずに、
朝(アサ)までこうして、       かっちん、かっちん。」


富士山(フジサン)
あたまを雲(クモ)の       上(ウエ)に出(ダ)し、
四方(シホウ)の山(ヤマ)を  見(ミ)おろして、
かみなりさまを          下(シタ)にきく、
富士(フジ)は日本(ニッポン) 一(イチ)の山(ヤマ)。」
青空高(あおぞらたか)く    そびえ立(タ)ち、
からだに雪(ユキ)の      着物着(キモノキ)て、
かすみのすそを         遠(トウ)くひく、
富士(フジ)は日本(ニッポン) 一(イチ)の山(ヤマ)。」


(ハル)が來(キ)
春(ハル)が來(キ)た、 春(ハル)が來(キ)た、 どこに來(キ)た。
山(ヤマ)に來(キ)た、 里(サト)に來(キ)た、  野(ノ)にも來(キ)た。」
花(ハナ)が咲(サ)く、 花(ハナ)が咲(サ)く、  どこに咲(サ)く。
山(ヤマ)に咲(サ)く、  里(サト)に咲(サ)く、  野(ノ)にも咲(サ)く。」
鳥(トリ)が鳴(ナ)く、   鳥(トリ)が鳴(ナ)く、    どこで鳴(ナ)く。
山(ヤマ)で鳴(ナ)く 、 里(サト)で鳴く、      野(ノ)でも鳴(ナ)く。」


子馬(コウマ)
はいしい、はいしい、  あゆめよ子馬(コウマ)
山(ヤマ)でも坂(サカ)でも、  ずんずんあゆめ。
おまえが進(スス)めば、  わたしも進(スス)む。
あゆめよ、あゆめよ、  足(アシ)おとたかく。」
ぱかぱかぱかぱか、  走(ハシ)れよ子馬(コウマ)。
けれども急(イソ)いで、  つまずくまいぞ。
おまえずころべは、  わたしもころぶ。
走(ハシ)れよ、走(ハシ)れよ、  ころばぬように。」


田植(タウヱ)
いまはいそがし、  田植(タウヱ)どき。
ここでは馬(ウマ)に  田(タ)をすかせ、
そこでは苗(ナエ)を  田(タ)にうえる。
すかせる、 うえる、 いそがしや。」
これからたびたび  田草(タグサ)とり、
しだいに手かずが  ふえていく。
どうぞあきまで  都合(ツゴウ)よく、
天氣もつづけ、  雨(アメ)もふれ。」
(新編教育唱歌集)


(ツル)
あさ日(ヒ)の光(ヒカリ)  かすかにさせば、
ねぐらのもりを  はやおきいでて、
はばたきゆるく  大(オウ)ぞらかける、
かくて長(ナガ)いき  するのはつるよ。」
みどりかわらぬ  老松(オイマツ)がえに、
こころしずかに  つばさををさめ、
おさまるみよの  たのしききょうを、
ちよやちよにと  いわうはつるよ。」
(尋常小學唱歌)


(シ)の恩(オン)
としつきながく  われにわれに、
ひとたるみちを、 しらせんと、
ものいうことも  ふでとるわざも、
てをとるように  おしえらるる。」
ああ、ありがたき  學校(ガッコウ)や、
ああ、ありがたき  師(シ)の恩(オン)や、
めぐみはふかく、おしえはひろし、
わすれてなどか  よかるべき。」
みおしえしのぶ  ときごとに、
みめぐみおもう  おりごとに、
わがことはげみ、  わがわざつとめ、
わが師(シ)のきみに  むくいなん。」


運動會(ウンドウカイ) (一)
指折(ユビオ)リ數(カゾ)エテ  待(マ)ツテ居(イ)タ、
今日(キョウ)ハ樂(タノ)シキ  運動會(ウンドウカイ)。
旗(ハタ)トリカケクラ       元氣(元気)ヨク、
ミンナデ一緒(イッショ)ニ     遊(アソ)ビマショウ。」
遊(アソ)ブトキニハ        ヨク遊(アソ)ビ、
カラダキキタエテ          ヨクマナブ、
基(モトイ)ヲツクル        運動會(ウンドウカイ)。
ミンナデ一緒(イッショ)ニ    遊(ウソ)ビマショウ。」


運動會(ウンドウカイ) (二)
待(マ)ち得(エ)し今日(キヨウ)の  うれしさに、
心(ココロ)もかろく  身(ミ)もかろく、
大旗(オオハタ)・小旗(コハタ)  ひるがえす、
風(カゼ)も勇(イサ)まし  運動會(ウンドウカイ)。」
かけよ走(ハシ)れよ  眞先(マツサキ)に、
ひけや大綱(オウヅナ)  もろともに、
勝(カ)って唱(トノ)うる  萬歳(バンザイ)の、
聲(コエ)も勇(イサ)まし  運動會(ウンドウカイ)。」
學(マナビ)の業(ワザ)の  ひまひまに、
日頃(ヒゴロ)きたえし  腕(ウデ)と足(アシ)、
力のかぎり  ためしみて、
嬉(ウレ)し勇(イサ)まし  運動會(ウンドウカイ)。」


あさがお
毎朝毎朝(マイアサマイアサ)
   咲(サ)くあさがおは、
 おとといきのうと
    だんだんふえて、
     今朝(ケサ)はしろ四(ヨ)つ
       むらさき五(イツ)つ。」
大(オウ)きな莟(ツボミ)は
   あす咲(サ)く花(ハナ)か。
 ちいさなつぼみは
   あさって咲(サ)くか。
    早(ハヤ)く咲(サ)け咲(サ)け、
     絞(シボ)りや赤(アカ)も。」


(キク)
秋(アキ)の日(ヒ)かげに  かがやきて、
色香(イロカ)けだかき  菊(キク)の花(ハナ)。
これぞまことに  花中(カチウ)の君子(クンシ)。」
種(タネ)をつたえて  外(ト)つ國(クニ)の、
人(ヒト)もとうとむ  菊(キク)の花(ハナ)。
げにも道理(ドウリ)よ  みかどの御紋(ゴモン)。」


(アキ)の山(ヤマ)
われらの好(コノ)む  秋(アキ)きたれり。
わらじふみしめ、  山(ヤマ)に登(ノボ)る。
紅葉(モミジ)うつくし、  峰(ミネ)も谷(タニ)も。
白雲(シラクモ)わきたつ、  足(アシ)のもとに。」
たのしげなるよ、  鳥(トリ)のなく音(ネ)。
遠(トウ)くひびくよ、  谷(タニ)のながれ。
木(コ)の間(マ)をわけて  きのことらん。
栗(クリ)の實(ミ)ひろいて  みやげとせん。」
(高等小學唱歌)


(ユキ)の朝(アシタ)
一度(イチド)に花(ハナ)さく  枯野(カレノ)の草葉(クサバ)、
いずこも春(ハル)めく  冬木(フユギ)の櫻(サクラ)。
うつくし、  雪降(ユキフ)るけしき、
おもしろ、  朝(アサ)のながめ。」
緑(ミドリ)も隠(カク)るる  園生(ソノウ)の松葉(マツバ)、
姿(スガタ)も埋(ウモ)るる  垣根(カキネ)の笹葉(ササバ)。
暮(クレ)まで  降(フ)れ降(フ)れ雪(ユキ)よ、
明日(アス)まで  積(ツ)め積(ツ)め雪(ユキ)よ。」
(適用教科 少年唱歌)


正直(ショウジキ)
忘(ワス)るなよ、  正直(シヨウジキ)は
人間(ニンゲン)の守(マモ)るべき  第一(ダイイチ)の徳(トク)なるを。」
交(マジワ)りて友達(トモダチ)の  信用(シンヨウ)を受(ウ)くべきも、
ただ是(コレ)ぞ、  この徳(トク)ぞ。」
商(アキナイ)のもとでとは、  金(カネ)よりも品(シナ)よりも、
ただ是(コレ)ぞ、  この徳(トク)ぞ。」
(高等小學唱歌)


二宮金次郎(ニノミヤキンジロウ)
柴刈(シバカ)り縄(ナワ)ない  草鞋(ワラジ)をつくり、
親(オヤ)の手(テ)を助(タス)け  弟(オトト)を世話(セワ)し、
兄弟仲(キヨウダイナカ)よく  孝行(コウコウ)つくす、
手本(テホン)は二宮(ニノミヤ)  金次郎(キンジロウ)。」
骨身(ホネミ)を惜(オシ)まず  仕事(シゴト)をはげみ、
夜(ヨ)なべすまして  手習(テナライ)・讀書(トクシヨ)、
せわしい中(ナカ)にも  撓(タユ)まず學(マナ)ぶ、
手本(テホン)は二宮(ニノミヤ)  金次郎(キンジロウ)。」
家業大事(カギヨウダイジ)に  費(ツイエ)をはぶき、
少(スコ)しの物(モノ)をも  粗末(ソマツ)にせずに、
遂(ツイ)には身(ミ)を立(タ)て  人(ヒト)をもすくう、
手本(テホン)は二宮(ニノミヤ)  金次郎(キンジロウ)。」


職業(シヨクギヨウ)
なすべき業(ワザ)は人毎(ヒトゴト)に、
おのずからなる定(サダ)めあり。
一日(イチニチ)はげみはたらきて、
やすろう夜(ヨ)こそたのしけれ。」
なすことなくて一日(イチニチ)を、
すごすは人(ヒト)の道(ミチ)ならず。
身(ミ)におう業(ワザ)をつとめてぞ、
世(ヨ)に生(ウマ)れたるかいあらん。」
力(チカラ)の限(カギリ)はたらきて、
つみえし家(イエ)のさいわいに、
たのしく月日(ツキヒ)おくりなば、
心(ココロ)はいかに清(キヨ)からん。」


勤儉(キンケン)

父母(フボ)より受(ウ)けし  この身體(カラダ)、
筋骨(キンコツ)すべて  力(チンラ)あり。
この手(テ)をむだに  なすべきか、
この足(アシ)むだに  なすべきか。
はたらくための  この手(テ)なり、
はたらくための  この足(アシ)ぞ。
毎日(マイニチ)つとめ  はたらくが、
まことの人(ヒト)の  道(ミチ)なるぞ。」


はたらく人(ヒト)は  おのずから、
身體(カラダ)もつよく  なり行(ユ)きて、
かせぐにおいつく  貧(ヒン)もなく、
財寶(タカラ)も自然(シゼン)  得(エ)らるべし。
財寶(タカラ)を得(エ)ては  むだにせず、
貯(タクワ)えおきて  身(ミ)を富(ト)ませ、
勤(ツト)めて得(エ)たる  富(トミ)こそは、
まことに人(ヒト)の  たからなれ。」


養蠶(ヨウサン)

蠶卵紙(タネガミ)おろし  掃(ハ)きたてて、
桑(クワ)の若葉(ワカバ)を  食(ク)わすれば、
見(ミ)えぬ程(ホド)なる  幼蟲(ヨウチウ)も、
一日一日(ヒトヒヒトヒ)に  育(ソダ)ちつつ、
四(ヨ)たびの眠(ネム)り 覺(サ)めて後(ノチ)、
玉(タマ)なす繭(マユ)を  造(ツク)るなり。」


桑(クワ)の若葉(ワカバ)の  切(キ)りきざみ、
眠起(ネオ)きの世話(セワ)や  火(ヒ)の加減(カゲン)、
夜(ヨル)も眠(ネム)らぬ  勤勞(キンロウ)の、
しるしは早(ハ)やも  あらわれて、
桑食(クワク)う音(オト)の  止(ヤ)みぬれば、
蠶簿(マブシ)にかかる  玉(タマ)の繭(マユ)。」


世(ヨ)に生業(ナリワイ)は  多(オウ)かれど、
げに樂(タノ)しきは  養蠶(ヨウサン)ぞ。
心(ココロ)つくして  いそしめば、
いそしむ甲斐(カイ)の  あらわれて、
やがてはこれぞ  家(イエ)の富(トミ)、
やがてはこれぞ  國(くに)の富(トミ)。」


同胞(ドウホウ)すべて七千萬(シチセンマン)

北(キタ)は樺太(カラフト)・千島(チシマ)より、  南臺灣(ミナミタイワン)・澎湖島(ホウコトウ)。
朝鮮半島(チヨウセンハントウ)おしなべて  我(ワ)が大君(オウギミ)の食(オ)す國(クニ)と、
朝日(アサヒ)の御旗(ミハタ)ひるがえす  同胞(ドウホウ)すべて七千萬(シチセンマン)。」


神代(かみよ)はるけき昔(ムカシ)より  君臣分(クンシンブン)は定(サダマ)りて、
萬世一系動(バンセイイッケイウゴ)きなき  我(ワ)が皇室(コウシツ)の大(オウ)みいつ。
あまねき光仰(ヒカリアオ)ぎ見(ミ)る  同胞(ドウホウ)すべて七千萬(シチセンマン)。」


武勇(ブユウ)のほまれ細戈(クワシホコ)  千足(チタル)の國(クニ)の名(ナ)に負(オ)いて、
禮儀(レイギ)は早(ハヤ)く唐人(カラビト)も  稱(タタ)えし其(ソ)の名君子國(ナクンシコク)。
祖先(ソセン)の遺風(イフウ)つぎつぎて  同胞(ドウホウ)すべて七千萬(シチセンマン)。」


瑞穂(ミズホ)の國(クニ)と農業(ノウギヨウ)は  開(ヒラ)けぬ地(チ)なし、野(ノ)も山(ヤマ)も。
商工業(シヨウコウギヨウ)の発達(ハツタツ)に  皇國(ミクニ)の富(トミ)を起(オコ)さんと、
勤勉努力(キンベンドリヨク)たゆみなき  同胞(ドウホウ)すべて七千萬(シチセンマン)。」


智(チ)は東西(トウザイ)の長(チヨウ)を採(ト)り、  文明古今(ブンメイココン)の粹(スイ)を抜(ヌ)く。
建國以來三千年(ケンコクイライサンゼンネン)  歴史(レキシ)の跡(アト)にかんがみて、
日進月歩(ニツシンゲツポ)ゆるみなき  同胞(ドウホウ)すべて七千萬(シチセンマン)。」


東洋平和(トウヨウヘイワ)の天職(テンシヨク)は  かかる、我等(ワレラ)の肩(カタ)の上(ウエ)。
東方文明先進(トウホウブンメイセンシン)の  任務(ニンム)は重(オモ)き日本國(ニホンコク)。
上下心(シヨウカココロ)を一(イツ)にして  同胞(ドウホウ)すべて七千萬(シチセンマン)。」


修身(シウシン)の徳是(トクコレ)なりと、  教育勅語(キヨウイクチヨクゴ)のり給(タマ)い、
戰後經營(センゴケイエイ)かくこそと、  戊申(ボシン)の詔書(シヨウシヨ)かしこしや。
大(オウ)みことのり尊(トウト)びて、  同胞(ドウホウ)すべて七千萬(シチセンマン)。」


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