普通學校 國語讀本 巻七


朝鮮總督府編纂 普通學校 國語讀本 巻七
大正四年三月十三日印刷
大正四年三月十五日發行
定價金六銭

朝鮮總督府
總務局印刷所印刷


総頁数 126頁
緒言
目録
第1課〜第29課
附録
本邦行政区割図


第一課 我が國の景色(一)
第二課 我が國の景色(二)
第三課 我が國の景色(三)
第四課 日本の國     (変体仮名表記のため省略)
第五課 我が國の産物(一)
第六課 我が國の産物(二)
第七課 燒物と塗物
第八課 模樣ト色
第九課 奈良(ナラ)ノ大佛ト恩津(オンシン)ノ弥勒佛(ミロクブツ)
第十課 出立の日取を問い合わせる手紙
第十一課 会社と銀行
第十二課 為替
第十三課 組合(クミアイ)
第十四課 病氣
第十五課 看病
第十六課 病氣見舞の手紙
第十七課 尹准鵝鳥(いんわいがちょう)をあわれむ
第十八課 假名遣(かなづかい)
第十九課 賢イ子供
第二十課 机ノ物語
第二十一課 熊
第二十二課 電話
第二十三課 電報
第二十四課 つとめてやまば  (変体仮名表記のため省略)
第二十五課 鹽と砂糖 
第二十六課 森林(シンリン)
第二十七課 材木 
第二十八課 家
第二十九課 地方の行政
附録 一、  本字振假名
    二、  語句解釋
    三、  假名遣法要覧
    四、  地方廳管轄國名一覧
    五、  本邦行政地區劃圖


   
緒 言
一、 本書ハ普通學校第四學年前半期ノ國語科教科書ニ充ツルモノナリ。
二、 本書ニ於イテハ、第十八課ヨリ、世間慣用ノ假名遣ヲ用ヒタリ。是レ生徒ヲシテ、之ヲ讀ミ得シメンコトヲ期スル
   モノニシテ、必ズシモ、之ニ依リ、誤ナク書キ得ルニ至ラシメントスルモノニ非ズ。
   又、第二十三課ヨリハ、平易ノ文語體ヲ用ヒタリ。是レ又、生徒ヲシテ、之ヲ讀ミ且理會シ得シメンコトヲ期スル
   モノニシテ、必ズシモ、之ヲ以テ、文章ヲ綴リ得ルニ至ラシメントスルモノニ非ズ。
三、 本書ノ各課ハ、其ノ練習ト共ニ、凡ソ三四時間ヲ以テ教授スベキ豫定ナレドモ、教師ハ、便宜、斟酌ヲ加ヘ、生
   徒ノ能力ニ適セシメンコトヲ圖ルベシ。
四、 本書ヲ教授スルニハ、國語ヲ以テ説明ヲ加ヘ、且ツ實物・動作・會畫等ヲ利用シ、生徒ヲシテ十分ニ其ノ意義
   ヲ理會セシメ、尚ホ言語或ハ文章ヲ以テ、明瞭ラ之ヲ表出セシムベシ。
五、 本書ノ各課ヲ教授スルニハ、本文ノ讀方・解釋等ニ入ル前、必要ニ應ジテ該課ノ内容ニ關シ、豫メ國語ニテ問
   答又ハ説明ヲナスベシ。
六、 新出語ハ總ベテ之ヲ上欄ニ掲ゲ、且ツ新出文字ニハ點ヲ附シ、讀替文字ニハー線ヲ附セリ。
七、 練習問題ハ、掲グルモノノ外、必要ニ應ジテ、之ヲ補フベシ。
八、 教師ハ各課ノ教授ニ於テ、機ニ臨ンデ、言語・文字ヲ補ヒ、授ケ、又土地ノ状況、生徒ノ境遇等ニ依リ、適宜、
   該課ニ關係アル事項ヲ補ヒ授クベシ。
九、 巻末ノ附録ハ、生徒ヲシテ、豫習・復習ノ際、之ヲ利用セシムベシ。

    大正四年二月         朝 鮮 總 督 府



   
第一課 我が國の景色(一)
我が國には景色のよい所が多く、中にも嚴島(いつくしま)・天橋立(あまのはしだて)・松島は日本三景といって、殊にすぐれて居る。
嚴島は、又宮島ともいって、廣島縣の南部の島で、瀬戸内海の中にある。さほどおおきくはないけれども、大層、景色がよく、此の島にある嚴島神社は殊に世に名高い。社の前の海中には大きな鳥居があって、まず參詣者の目をひく。お宮の廊下は、潮が滿ちて來ると、海に浮いて居るようで、昔話にある龍宮(りうぐう)かと思われる。
天橋立は京都府の北部にあって、日本海に臨んで居る。白い砂地が細長く海中に突き出て、それに松が青々と生えて居る。遠くから之を見ると、海に橋がかゝって居るようで、まことに面白い景色である。
松島は宮城縣の東部にある島で、仙薹とは甚だ近い。枝ぶりのよい松の生えた島が、何百というほどちらばっている。其の間を、白帆(しらほ)をかけた船の通るのや、水鳥のあちこちと飛ぶところなど、何ともいわれぬほど美しい。

練習
一、嚴島のことをお話しなさい。
ニ、天橋立のことをお話しなさい。
三、松島のことをお話しなさい。
四、次の文を讀んで、常體と崇敬體との別に注意しなさい。
   (イ)大層、景色のよい所が三つ  ある。          常 體
                          あります。       崇敬體
   (ロ)嚴島神社は殊に世に名高    い。            常 體
                          うございます。    崇敬體
   (ハ)昔話にある龍宮かと思わ     れる。         常 體
                          れます。        崇敬體




    
第二課 我が國の景色(ニ)
遠くから眺めると、霞か雲かと疑われるが、近づいて見れば、櫻の花の咲き亂れて居るのである。山も谷も悉く櫻である。これが吉野山(よしのやま)の春の景色である。古人の歌に、
 吉野山霞の奥は知らねども、
    見ゆる限りは櫻なりけり。
とあるが、全く其の通りである」。
吉野山には口の千本、中の千本、奥の千本といって、眺の非常によいところが三つある。すべて山ぢう櫻でないところはない。花は麓の方から咲き始めて、段々、峯の方に及ぶから、麓の花の盛りが過ぎて、中の花、奥の花の盛りとなるまでには、一月もかゝるということである。
京都の嵐山も、昔から櫻の名所として聞えて居る。麓には大井川の水が清く流れ、山にも川のほとりにも櫻が多く、松や楓も少なくない。咲き亂れた櫻、色のこい松、橋を往來する人、川を上下する小舟、すべて繪の樣である。
又、滿山、錦をかざった秋の眺も、頗る美しい。

練習
一、吉野山の景色を文にお作りなさい。
ニ、吉野山の歌をそらで言ってごらんなさい。又、其の意味をお話しなさい。
三、嵐山の景色についてお話しなさい。
四、次の文を讀んで、どれが常體で、どれが崇敬體であるかをお話しなさい。
   (イ)山ぢう櫻でないところは  ない。
                      ありません。
   (ロ)吉野山は櫻の名所として聞えて居  る。
                             ます。
五、次の常體の文を崇敬體に改めてごらんなさい。
   (イ)景色のよいことは、全く歌の通りである。
   (ロ)松や楓も少なくない。
   (ハ)秋の眺も美しい。




    
第三課 我が國の景色(三)
朝鮮の諺に、「金剛山を觀ぬ中は、天下の山水を語るな。」ということがある。實に此の諺の通り、金剛山の景色は世にたぐい少ないものである。
金剛山は江原道の東部にあって、一萬ニ千の峯があるといわれて居る。
此の山には奇妙な形をした巖が多く、方々に瀑も少なくない。殆んど巖ばかりの所もあるが、又、樹木のよく茂って居る所もあって、松や樅は緑の色濃く、秋の紅葉は殊に美しい。
到る所の景色、皆それ\/の趣があって捨て難いが、わけて萬物相(ばんぶつそう)・九龍淵(きうりうえん)などは見ものである。
萬物相の眺は巖にある。柱の樣に聳えて居るのもあれば、壁の樣にけずり立てられたのもあり、人に似たものもあれば、獸の樣なのもある。さながら萬物の形を現わして居るように見える。
九龍瀑(きうりうばく)は、けわしい崖の上から、數百尺の高さを落ちて來て、其の勢で深い淵が出來て居る。これが九龍淵である。白い絹を長くひいたような瀑が、底も見えぬ眞青(まっさお)な淵に落ち込むさまは、實に凄まじいものである。
金剛山には、昔は随分多くの寺があったが、今は大層少なくなった。しかしまだ名高い寺がいくつもあって、中には頗る立派で、大きなものもある。

練習
 一、金剛山の景色のよいことをお話しなさい。
 ニ、萬物相の景色をお話しなさい。
 三、九龍淵の景色をお話しなさい。
 四、「見もの」「凄じい」を用いてむ、ニつの短文をお作りなさい。



第四課 日本(の)國 (変体仮名表記のため省略)




    
第五課 我ガ國ノ産物景色(一)
我ガ國民ノ多数ハ農業ニ從事シテ居ル。從ッテ農産物ガ頗ル多ク、米・麥・甘藷・大豆・粟・茶ナドハ、其ノ主(オモ)ナモノデアル。
米ハ農産物中最モ大切ナモノデ、年々ノ産額ガ六千萬石餘アル。内地・朝鮮・臺灣ノ何レニモヨク出來ルガ、殊ニ臺灣ハ氣候ガ暖カイカラ、一年ニ収穫ガ二回モアル。
麥ハ米ニ次イデ大切ナ穀物デ、内地ト朝鮮トニ多ク産スル。一年ノ産額ハ二千五百萬石モアル」。
甘藷ハ内地ト臺灣トニ多ク産シ、内地ノ或ル地方ヤ臺灣デハ、米ニ次イデ大切ナ食料トナッテ居ル」。
大豆・粟ハ内地ニモ朝鮮ニモ頗ル多クテ、朝鮮ノ或ル地方デハ、粟ヲ常食トシテ居ル。
茶ハ我ガ國ノ名高イ産物デ、外國ニ輸出スル額モ中々多イ。内地ノ外、臺灣ニモ多ク産スルガ、内地デハ、京都府ノ宇治(ウヂ)カラ、殊ニ風味ノヨイノガ出ル。
此ノ外、朝鮮ニハ綿ヤ人蔘ガ産スルシ、臺灣ニハ甘蔗ガ産スル。臺灣ノ甘蔗カラ製セラレル砂糖ノ額ハヨホド多イ。

練習
一、朝鮮ノ主ナ農作物ハ何々デスカ。ソレヲ文ニオ作リナサイ。
ニ、内地ト臺灣トノ主ナ農産物ノコトヲオ話シナサイ。
三、次ノ文ヲ讀ンデ、ドレガ崇敬體デ、ドレガ常體デアルカヲオ話シナサイ。
   (イ)米ハ我ガ國ノ主ナ農産物   デゴザイマス。
                        デアリマス。
                        デス。
                        デアル。
   (ロ)麥ハ内地ト朝鮮トニ多ク産  シマス。
                        スル。




   
第六課 我ガ國ノ産物景色(ニ)
養蠶ハ、太古カラ、我ガ國ニ行ワレタモノデ、内地デハ殊ニ盛ンデアッテ、年々産スル繭ハ三百五十萬石以上ニ達スル。養蠶ハ朝鮮ニモ適シテ居ルカラ、近來ハドノ地方デモ、競ッテ之ヲスルヨウニナッタ。シカシマダ盛ントイウマデニハ至ラナイ。」
我ガ國ノ牧畜業ハサホド盛ンデハナイガ、内地ニハ所々ニ馬ヤ牛ノ山地ガアリ、ク、臺灣ニハ豚ヤ水牛ガ多ク、朝鮮ニハ牛ガ割合ニ多イ。
工業ハ近來大イニ進ミ、蠶絲・綿絲・織物ナドガヨホド多ク出來ル。蠶絲ハ一年ニ産スル價額ガ約一億七千萬圓、綿絲ハ約二億圓デ、共ニ多ク外國ニ輸出サレル。織物ハ内地ニ於ケル第一ノ工業品デ、一年ニ産スル價額ガ約三億圓デアル。其ノ中デ綿織物・絹織物ガ最モ多ク、絹綿交織物(ケンメンマゼオリモノ)ガコレニ次ギ、外ニ毛織物・麻織物ナドモアル。」
我ガ國ノ燒物ト塗物トハ、古來其ノ名ガ高ク、まっち・花筵・麥稈眞田(ムギワラサナダ)・樟腦ナドト共ニ、外國ニ輸出サレル額ガ少ナクナイ。此ノ中、樟腦ハ多ク臺灣デ取レルノデアル。
鑛産物ニハ銅ト石炭トガ最モ多ク外國ニモ輸出サレル。銅ハ内地カラ澤山出ルガ、石炭ハ、内地ノ外、朝鮮・臺灣カラモ多ク出ルシ、又、南滿洲ニモ良イ炭坑ガアッテ、我ガ國ノ人ガ盛ンニ發掘シテ居ル。朝鮮ニハ金ト鐵トガ多ク、臺灣ニモ金ガ多イ。
我ガ國ハ、又、水産物ニモ富ミ、魚類ヤ海藻ヤ海獸ナドガ多ク、殊ニ朝鮮ニハ鰮・明太魚(メンタイ)・石首魚(グチ)・鯛ナドガ澤山取レル。

練習
一、養蠶ノコトヲオ話シナサイ。
ニ、牧畜業ノコトヲオ話シナサイ。
三、工業ノコトヲ文ニオ作リナサイ。
四、鑛産物ノコトヲオ話シナサイ。
五、水産物ノコトヲオ話シナサイ。




    
第七課 燒物ト塗物
内地人ガ日常用イル器具ノ中デ、茶碗・土瓶・皿・鉢ナドハ燒物デ、膳・椀・盆・重箱ナドハ塗物デアル。
燒物ニハ陶器・磁器ナドガアル。之ヲ造ルニハ、粘土ニ石ノ粉ヲマゼテネリ固メ、種々ノ形ニ作ッテ乾カシ、ソレヲカマニ入レテ燒クノデアル。コウシテ出來タモノニ花鳥・山水・人物ナドヲカイテ、ウワグスリヲカケテ再ビ燒クト、立派ナ燒物ニナル。」
朝鮮ニ多ク用イラレル土器ハ、カマニ入レテ燒イタバカリデ、ウワグスリヲカケズ、模樣ナドヲツケナイ燒物デアル。
塗物ハ即チ漆器デアル。漆ニK・赤・青ナド種々ノ色ヲツケテ、器物ニ塗ッタモノデ、其ノ漆ハ漆ノ樹ノ皮カラ取ッタ汁デアル。器物ノ面ニ漆ヲ塗ッテ、其ノ上ニ金又ハ銀ノ粉デ模樣ヲアラワシタノヲ蒔繪(マキエ)トイイ、美シイ貝殻デ、種々ノ模樣ヲ塗物ニハメ混ンダノヲ螺鈿(ラデン)トイウノデアル。螺鈿ハ、昔カラ、朝鮮ニモ産スル美術品ノ一種デアル。」
燒物モ塗物モ、内地デハ昔カラ頗ル良イ品ガ出來ル。特ニ燒物ハ、近年ニ至リ、其ノ産額ガ大イニ揀Vテ來タ。
朝鮮ニハ昔ハ高麗燒トイッテ、見事ナ燒物ガアッタガ、オシイコトニ今ハ出來ナクナッタ。シカシ、近頃、段々製法ヲ研究シテ、昔ノヨウナヨイ品ヲ造リタイト苦心シテ居ルモノモアル。

練習
一、燒物ノ造リ方ヲ文ニオ作リナサイ。
ニ、塗物ノコトヲオ話シナサイ。
三、高麗燒ノコトヲオ話シナサイ。




   
第八課 模樣ト色
直線又ハ曲線ヲ種々ニ並ベルト、美シイ模樣ガ出來ル。
直線ヲホドヨイ長サニシテ、適宜ノ間隔ヲ置イテ、或ハ縱ニ、或ハ横ニ、或ハ斜ニ並ベルト、圖ノ樣ナ種々ノ模樣ガ出來ル。
曲線ハ直線ヨリモヤワラカニ感ジラレルカラ、之ヲ用イルト、直線ヨリモ、ヨホド美シイ模樣ガ出來ル。」
模樣ニハ全ク意味ノナイノモアルガ、草木・花鳥・蟲魚ナドノ形ヲ變エテ作ッタモノガ多イ。唐草模樣・波模樣ナドガ是レデアル。」
色ニハ原色トイウモノガアル。赤・青・黄ハ即チソレデ、之ヲ配合スルト、種々ノ色ガ出來ル。例エバ赤ニ青ヲマゼルト紫ニナリ、青ニ黄ヲマゼルト緑ニナル。此ノ樣ニシテ、數エツクサレヌホド澤山ナ色ガ出來ルノデアル。色ノ名ニハ、桃色・紅梅色・藤色・櫻色ナドノ樣ニ、花カラ取ッタモノモアリ、橙色・柿色・葡萄色・小豆色ナドノ樣ニ、實カラ取ッタモノモアル。又、鼠色・鳶色ナドノ樣ニ、動物カラ取ッタモノモアリ、茶色・藍色ナドノ樣ニ、植物カラ取ッタモノモアル。
繪畫ヤ模樣ニ種々ノ色ドリヲスルト、一層美シク見エルモノデアルガ、コレニハヨク色ノ調和ヲ考エナケレバナラヌ。例エバ赤ト緑トヲ並ベルト、赤モ緑モ引立ッテ見エルガ、赤トKトヲ並ベルト、赤ガKズンデ見エルノデアル。
種々ノ模樣ヤ色ドリヲ工夫シテ、之ヲ織物・燒物・塗物ナドニ施スト、大層美シク見エルモノデアル。

練習
一、直線ヲ並ベテ、或ル模樣ヲ作ッテゴランナサイ。
ニ、曲線ヲ並ベテ、或ル模樣ヲ作ッテゴランナサイ。
三、唐草模樣波模樣トハドンナモノデスカ。
四、原色トハドンナモノデスカ。色ノ名ヲ、知ッテ居ルダケ、書イテゴランナサイ。
五、色ノ調和トハドウイウコトデスカ。




   
第九課 奈良ノ大佛ト恩津(オンシン)ノ彌勒佛(ミロクブツ)
今、忠雄ト文吉ハ、四方山(ヨモヤマ)ノ話ヲシテ居マス。
忠雄「文吉さん、アナタハ奈良ノ大佛ヲ知ッテ居マスカ。」
文吉「知ッテ居マス。學校デモ習ッタシ、書物デモ讀ミマシタ。」
忠雄「奈良ノ大佛ハ身ノ丈ガドレホドアルト思イマスカ。」
文吉「奈良ノ大佛ハ座ッテイラッシャルノデスガ、其ノ高サハ五丈三尺五寸アルトイウコトデス。」
忠雄「我ガ國ニハ、ソレヨリマダ高イ佛像ガアリマスガ、ソレヲ知ッテ居マスカ。」
文吉「ソレハ知リマセン。何處ニソンナ高イ佛像ガアリマスカ。」
忠雄「朝鮮ノ恩津トイウトコロニアル彌勒佛(ミロクブツ)デス。」
文吉「其ノ彌勒佛ハドノ位ノ高サデスカ。」
忠雄「彌勒佛ハ高イ冠ヲ着ケテ、立ッテイラッシャイマスガ、其ノ高サハ六丈七寸アルトイイマス。」
文吉「ナルホド高イ佛デスネ。シカシ奈良ノ大佛ガ、アノ大キナ體デ、高イ冠ヲ着ケテ立タレタラ、彌勒佛ハ迚モカナワナイデショウ。」
忠雄「ソウデス。ソレハ迚モカナイマセン。」
文吉「奈良ノ大佛ハ金佛(カナボトケ)デ、金ヤ銅ナドヲマゼテ造ッタモノダソウデスガ、彌勒佛モヤハリ金佛デスカ。」
忠雄「イイエ、ソウデハアリマセン。石佛デス。花崗岩(ミカゲイシ)デ造ッタモノデス。」
文吉「奈良ノ大佛ハ、今カラ千二百年程前ニ、出來タモノダソウデスガ、彌勒佛ハイツゴロ出來タノデスカ。」
忠雄「彌勒佛ハ、奈良ノ大佛ヨリハ、二百年モ後レテ出來タモノダソウデス。」

練習
一、奈良ノ大佛ノコトヲオ話シナサイ。
ニ、恩津ノ彌勒佛ノコトヲ文ニオ作リナサイ。
三、次ノ常體ノ文ヲ崇敬體ニ改メテゴランナサイ。
  (イ)忠雄ト文吉ガ話ヲシテ居ル。
  (ロ)産額ガ大イニ揀Vテ來タ。
  (ハ)米ハ到ル所ニ出來ル。




   
第十課 出立の日取りを問い合わせる手紙
先日は上って、いろ\/御馳走になりまして、ありがとう存じます。其の時のお話には,近日、元山えお出でになる御都合のようでしたが、それはもう御確定ですか。少々お願い致したいこともございますので、一寸伺いたいと存じます。お手數ながら、御出立の日取をお知らせ下さい。委しいことはお目にかゝって申し上げます。
                                          
 同じく返事
お手紙拜見致しました。先日はわざ\/お出で下さいましたのに、一向お構い申さず、失禮致しました。其の節申し上げました通り、一寸元山え蔘るつもりです。明後十五日の朝、出立致そうと存じます。明日は終日在宅のつもりですから、どうぞお出で下さい。お待ち申して居ります。あちらえの御用は、何なりとも、御遠慮なくお申し聞け下さい。

練習
 「御都合」「わざ\/」「お申し聞け」を用いて、三つの短文をお作りなさい。




   
第十一課 會社と銀行
會社は人々が資金を出し合って事業を營み、利uをはかるものである。利uは、勿論、資金を出し合った人々の間に配當するのであるが、若し損失があれば、また其の人々が之を分擔せねばならぬのである。
會社には書籍や反物などを商うものもあれば、鐵や石炭などを掘るものもあり、蠶絲や綿絲などを製するものもあって、一々擧げ盡されない。
一人では出來ないような大きな事業でも、大勢の人々が資金を出し合って、會社を設けてすれば、たやすく出來るのである。
銀行も多くは人々が資金を出し合って設けたもので、金を貸したり、金を預ったり、爲替(かわせ)を扱ったりなどする。
金の入用な人は、銀行から借りて利子を拂い、金の餘って居る人は、銀行え預けて利子を取る。それだから銀行は雙方のために便利である。
銀行に預金をするには、當座預と定期預とある。當座預であれば、預けた金をいつでも引き出すことが出來るが、定期預は六箇月とか一箇年とか、きめた期間は引き出すことが出來ない。其の代り、定期預の方は、利子がいくらか高い。
銀行は、又、料金で爲替を取扱い、送金の便も計って居る。
銀行の中で、農工銀行というのは、特に農業や工業をする人に、金を貸す銀行である。

練習
一、會社のことをお話しなさい。
ニ、銀行とはどんなものですか。それを文にお作りなさい。
三、定期預と當座預との別をお話しなさい。
四、本字には、正字の外に、略字があります。次の略字を書いてごらんなさい。
      會(正字)、会(略字)。  鐵(正字)、鉄(略字)。  當(正字)、当(略字)。
      蠶(正字)、蚕(略字)。  鹽(正字)、塩(略字)。




   
第十ニ課 爲替
貨幣や紙幣は之をよそえ持って行ったり、よそから送ってよこしたりするのに、面倒でもあり、又、間違の起る恐もある。そこで為替という便利な方法が出來たのである。爲替にすると、手數もかからず、安全に且つ速やかに、金を送ることが出來る。
爲替はも銀行でも、郵便局でも、扱うようになって居て、之を組むには、それぞれの手續がある。
郵便爲替には通常爲替・小爲替・電信爲替の三通りがある。
通常爲替を組むには、振出人(ふりだしにん)は郵便局から用紙をもらって、それに金高、自分と受取人との居所及び氏名、拂渡局の名などを書き入れ、現金に料金を添えて差出すのである。そうすると郵便局で、二枚續きの證書を渡すから、其の中の一枚を受取人に送ってやるのである。受取人は、自分の方の郵便局から、其の證書と引きかえに、現金を受取ることが出來る。小爲替や電信爲替の組み方は、これと少しちがうところがある。
小爲替は料金が安いし、又何處の郵便局からでも、現金を受取ることが出來るから便利である。けれどもこれは、一口が拾圓までと限られてある。」
電信爲替は料金は高いが、非常に早く間に合うから、急ぐ時には大層便利である。

練習
一、爲替の便利なことをお話しなさい。
二、通常爲替の組み方をお話しなさい。
三、小爲替と電信爲替とをくらべでお話しなさい。
四、次のことばを用いて、二つの短文をお作りなさい。
     引きかえに。     何なりとも。




   
第十三課 組合(クミアイ)
滋賀縣ニ葛川(カツラガワ)トイウ村ガアリマス。山ガ多クテ、田畑ガ少ナイノデ、村ノモノハ、大抵、炭燒ヤ木挽(コビキ)ヲ職業トシテ居マス。
シカシ皆ガ唯、伐ルバカリデ、植エナカッタカラ、山ノ木ハ次第ニ減ッテ行キマシタ。又、炭ノ賣捌ヤ日用品ノ買入レ等ニツイテモ、其ノ方法ヲ考エナカッタカラ、始終、損バカリシテ居マシタ。後ニハ其ノ日ノ暮シニモ困ルモノガ多クナッテ來テ、惡イ炭ヲ高ク賣ッテ、一時ノ利益ヲ得ヨウトスルモノモアルヨウニナリマシタ。ソレガタメ、サッパリ世間ノ信用ガナクナッテ、誰モ此ノ村ノ炭ヲ買ワナイヨウニナリ、非常ニ哀レナ有樣ニ陥リマシタ。」
コレデハイカナイト、村ノ人々ガ相談シテ、明治三十七年九月ニ組合ヲ設ケテ、山林ノ保護、製炭ノ改良ヲハカリマシタガ、其ノ結果ガ頗ルヨカッタノデ、村民ハ始メテ組合ノ利益ヲ知リマシタ。ソレデ翌年三月ニハ、更ニ又、別ノ組合を設ケテ、村ノ生産品ノ共同販賣ト日用品ノ共同購入トヲ取扱ウヨウニシマシタ。
ソレカラハ炭ノ品質モ良クナリ、信用モ揀Vテ、前ヨリハ大層ヨク賣レルヨウニナッテ來マシタ。其ノ上、日用品ナドモ大變安ク買イ入レルコトガ、出來ルヨウニナリマシタカラ、村ノ人々ノ暮シモ、次第ニ樂ニナッテ來マシタ。
其ノ後、又、信用組合ヲモ設ケテ、産業ニ必要ナ資金ヲ融通スル方法ヲ立テマシタガ、遂ニ村ノ風俗マデモ、自然ニ改マルヨウニナリマシタ。

練習
一、葛川村ガ非常ニ哀レナ有樣ニナッタノハナゼデスカ。
二、葛川村デハドンナ組合ヲ設ケマシタカ。
三、後ニ葛川村ハドンナニナリマシタカ。ソレヲ文ニオ作リナサイ。




   
第十四課 病氣
病氣ニ罹ッタナラバ、手當ヲスルコトガ大切デス。手當ガオクレルト、病氣ガ段々重クナリマス。ナルベク醫師ニ診察シテモラウ方ガヨイノデス。
腸窒扶私(チョウチブス)・發疹窒扶私(ハッシンチブス)・赤痢(セキリ)・痘瘡(トウソウ)・猩紅熱(ショウコウネツ)・實布垤利亞(ジフテリヤ)・虎列剌(コレラ)・ぺすとナドハ何レモ傳染病デ、一人ガコレニ罹ルト、ソレカラソレエト、ホカノ人ニウツッテ、終ニハ何百人何千人トイウ、澤山ナ人ガ、コレニ罹ルヨウナコトモアリマス。
肺病ヤ癩病(ライビョウ)モ一種ノ傳染病デ、コレモヨホド氣ヲ付ケナケレバナラヌ病氣デス。
傳染病ニ罹ッタ疑ガアッタナラ、直グ醫師ニ診察シテモラッテ、療治ヲ受ケナケレバナリマセン。又、ヨク消毒ヲシテ、ホカノ人ニウツラナイヨウニ、シナケレバナリマセン。之ヲ隠シテ置クノハ、甚ダ惡イコトデス。
痘瘡ハ疱瘡(ホウソウ)又ハ天然痘(テンネントウ)トイッテ、ヨホド恐ロシイ傳染病デスガ、種痘ヲスレバ、コレニ罹リマセン。」
種痘トイウノハ、痘苗ヲ人ノ體ニウエルコトデ、誰デモ醫師カ種痘認許員ニ頼メバ、之ヲシテモラウコトガ出來マス。又、警察署ナドデ、日ヲ定メテ、人々ニ種痘ヲサセルコトモアリマス。
肺ぢすとまモ恐ルベキモノデスガ、之ヲ豫防スルニハ、生水ヲ飲マヌコトガ第一デス。
ヨク眼ニ氣ヲ付ケナイト、とらほーむニ罹ルコトガアリマス。コレモ油斷ノナラヌモノデ、早ク療治シナイト、盲ニナッテシマウヨウナコトガアリマス。」
とらほーむニ罹ッテ居ル人ノ眼脂(メヤニ)ヤ涙ガ他人ノ眼ニツクト傳染シマスカラ、氣ヲ付ケナケレバナリマセン。又、とらほーむニ罹ッテ居ル人ノ用イテ居ル書物ヤ手拭ナドニモ、病毒ノツイテ居ル恐ガアリマスカラ、之ヲ借リテハナリマセン。
朝鮮ニハ、各道ニ慈惠醫院トイウ病院ガアリマス。コレバ人民ノ病苦ヲ救イ、其ノ壽命ヲ全ウセシメルタメニ、官デ設ケタモノデ、其ノ經費中ニハ、恩賜金ノ利子ガ用イラレテ居マス。誰デモ、病氣ノ時ハ、此ノ病院デ療治シテモラワレルシ、貧窮ノ者ハ、無料デモ、療治シテモラウコトガ出來マス。カヨウナ病院ノ設ケラレタノモ、全ク有リ難イ御世ノオカゲデス。

練習
一、傳染病ノ種類ヲ擧ゲテゴランナサイ。
ニ、傳染病ニ罹ッタ時ノ心得ヲオ話シナサイ。
三、種痘ノコトヲ文ニオ作リナサイ。
四、慈惠醫院トハドンナモノデスカ。
五、次ノ崇敬體ヲ常體ニ改メテゴランナサイ。
    (イ)病氣ニ罹ルコトモアリマス。
    (ロ)注意シナケレバナリマセン。
    (ハ)ウツリ易ウゴザイマス。
六、次ノ字ニ「ヤマイダレ」をツケレバ、何トイウ字ニナリマスカ。
    丙。 豆。  倉。  利。




   
第十五課 看病
諺ニモ「一ニ看病、ニニ藥。」トアル通リ、病氣ノナオルト、ナオラナイトハ、看病人ノ力ニヨルコトガヨホド多イモノデス。ソレデスカラ、病人ガ出來タ時ニハ、家ノ人々ハヨク醫師ノ指圖ニ從ッて、親切ニ看病シナケレバナリマセン。
病人ノ部屋ハヨク掃除シテ、新シイ空氣ノ通ウヨウニシ、衣服ハ清潔ニシテ、汚レタノハ洗イ、又、日ニ當テテ乾カサナケレバナリマセン。
戸・障子ノアケタテヤ、起居振舞(タチイフルマイ)ナドモ、静カニシナケレバナリマセン。又、大聲デモノヲ言エバ、病人ノジャマニナルシ、小聲デサヽヤケバ、病人ハ自分ノ病氣ガ重クナッタノカナドト、イロ\/心ヲツカイマス。ソレデスカラ、罪ノナイ面白イ話ナドヲシテ、其ノ心ヲ慰メルガ一番ヨイノデス。ケレドモアマリ長ク話ヲスルト、病人ガ疲レマスカラ、ヨクアリマセン。
病氣ガ少シナオリカケルト、病人モツイ心ガユルンデ、飲物ユ食物ナドニ注意ヲ怠リ、其ノタメニ、病氣ガマタ重クナルコトガアリマス。「病氣ハナオリギワ。」トイウコトガアリマス。決シテ油斷シテハナリマセン。

練習
一、「一ニ看病、ニニ藥。」トハ、ドウイウコトデスカ。
二、病人ノ部屋ハドウスルベキモノデスカ。
三、其外、看病ノ心得ヲオ話シナサイ。
四、「病ハナオリギワ。」ノ意味ヲ文ニオ作リナサイ。
五、「病ガナオリカケル。」「本ヲ讀ミカケル。」ノヨウニ、「カケル」トイウコトバヲ用イテ、短文ヲオ作リナサイ。
六、次ノコトバト反對ノ意味ノコトバヲ言ッテゴランナサイ。
     新シイ。 怠ル。  重イ。  長イ。




   
第十六課 病氣見舞の手紙
此の間は久しく御缺席ですから、どういうわけかと、御案じ申して居ましたが、だん\/樣子を聞きますと、御病氣のためだということで、まことに驚きました。一時はお熱も高く、おうちの皆さま方も、大層御心配なさったそうですが、其の後、御容體はいかヾですか。精々御養生なさって、一日も早く、おなおりになることを祈ります。
                                
 同じく返事
御手紙ありがたく拜見しました。いろ\/、御心配下さって、ありがとうございます。病氣はおい\/よろしくなり、熱も下り、食も進んでまいりましたから、近い中に出席して、お目にかゝることが出來ましょうと思って、喜んで居ます。どうぞ皆樣にもよろしくお願い上げます。

練習
 「御案じ」「精々」を用いて、二つの短文をお作りなさい。




   
第十七課 尹淮鵝鳥(いんわいがちょう)をあわれむ
昔、尹淮という人がありまして、學問が博く、且つあわれもの心が深うございました。
或る時旅行して、日暮になったので、とある宿屋に行って、一夜の宿を頼みましたけれども斷わられました。多分、身なりがわるかったからでしょう。」
そこで尹淮は、よんどころなく、宿屋の庭の隅で一夜をあかそうと思って、其處に坐って居ました。其の時、此の家の小さな子が、美しい珠を持って出て來ましたが、過ってそれを取落しました。
すると、ちょうど傍に鵝鳥が居て、直ぐそれを呑んでしまいました。」
主人は其の子が珠を持って居ないのを見て、驚いてあちこちと探しました。けれどもどうしても見當りません。そこで、これは、きっと、あの人が盗んだにちがいないと思い込んで、官に訴えるつもりで、尹淮を縛りました。尹淮は少しも爭わないで、主人がする通りになって居ましたが、たゞ「どうか、其の鵞鳥を私の傍に繋いで置いて下さい。」と言いました。ところが、翌朝になると、其の珠が鵞鳥の糞の中にまじって出て來ました。主人は驚いて直ぐに尹淮の繩を解いて、深く詫びました。そうして、「なぜ昨日は、あんなに默って居たのですか。」と聞きますと、「いや、、昨日それを言うと、お前があの鳥の腹を割いて、珠を探すであろうから、かわいそうだと思って、默って居たのだ。」と答えました。

練習
一、主人はなぜ尹淮を縛りましたか。
二、尹淮はなぜ默って縛られて居たのですか。
三、「よんどころなく」「ちがいない」「多分」ということばを用いて、三つの短文をお作りなさい。
四、此の文に書いてあることを、つゞめて言ってごらんなさい。
五、次の字に假名をおつけなさい。
    淮。  唯。  博。  縛。  傳。




   
第十八課 假名遣(かなづかい)
假名の數はあまり多くはありませんけれども、それで、どんな言葉でも、自由に書きあらわすことが出來るから、大層便利です。
けれども、假名で言葉を書きあらわすには、昔から一種の假名遣があって、今日でも、それが一般に世間に行われて居ます。
例えば
 コドモガ、テヌグイ(・)デ、カオ(・)ヲフイテイ(・)マス。
と書いて、意味はよく分るのですけれども、世間では之を次の樣に書きます。
 コドモガ、テヌグヒ(・)デ、カホ(・)ヲフイテヰ(・)マス。
即ち「テヌグイ」は「テヌグヒ」、「カオ」は「カホ」、「イマス」は「ヰマス」と書くのです。
又、學校は「ガッコウ」、樂器は「ガッキ」と讀むけれども、世間では之を「ガクカウ」「ガクキ」と書きます。
此の假名遣は中々面倒で、一々こんなに書くことはむずかしいけれども、人の書いたのが讀めないと不便です。

練習
一、假名の便利なことをお話しなさい。
二、假名遣にはどんな面倒なことがありますか。




   
第十九課  賢イ子供
或ル家ノニハ(・)ニ、オオキナ水ガメガアッテ、雨水ガ一パイタマッテヰ(・)マシタ。一人ノ子供ガ水ガメノフチヘ(・)上ッテ、遊ンデヰ(・)ル中ニ、フミハヅ(・)シテ、カメノ中ヘ(・)落チマシタ。捨テテオケバ死ンデシマヒ(・)マス。居合ハ(・)セタ子供ハ、皆ウロタヘ(・)テ騒ギマシタ。其ノ時一人ノ子供ハ大キナ石ヲ持ッテ來テ、力任セニ、カメニ投ゲツケマシタ。ソレガタメ、カメニオホ(・)キナ穴ガアイテ、水ガ流レ出マシタカラ、子供ハアヤフ(・)イ命ヲ助ッタトイフ(・)コトデス。

練習
一、一人ノ子供ガドンナアヤフイメニアヒマシタカ。

二、ホカノ子供ガ、「ドンナニシテ、ソレヲ助ケマシタカ。
三、次ノ假名文ヲ讀ンデ、其ノ假名遣ニ注意シナサイ。
   (イ) イハ(・)ノウヘ(・)ニマツノキガ、ハエテヰ(・)マス。
   (ロ) ニハ(・)ニ、アサガホ(・)ノハナガ、サイテヰ(・)マス。
   (ハ) ユフ(・)ガタハ、ヨホド、スヾシクナリマシタ。
四、次ノ樣ニ「ハ・ヒ・フ・ヘ・ホ」ガ、言葉ノ終又ハ中ニアルトキハ、「ワ・イ・ウ・エ・オ」ト讀ムコトガ多イノデス。
   (イ) ニハ(庭)   アハ(粟)   タハラ(俵)
   (ロ) コヒ(鯉)   アタヒ(價)   タヒラ(平)
   (ハ) イフ(云)   クフ(食)   アヤフイ(危)
   (ニ) イヘ(家)   ナヘ(苗)   カヘル(蛙)
   (ホ) シホ(鹽)   ホホ(頬)   オホキイ(大)




   
第二十課 机ノ物語
私ハ机デゴザイマス。私ガ此處ヘマヰッタノハ、此ノ學校ガ建ッタ年デゴザイマスカラ、今年デモウ、カレコレ十年ニナリマス。其ノ間ニ多クノ子供ヲ見マシタ。十人十色ト申シマスガ、マコトニ其ノ通リデ、顔ノチガウヨウニ、性質モ色々カハッテ居マシタ。
アクビヲシタリ、ワキ見ヲシタリシテヰテ、先生ニ何カ聞カレテモ、答ヘルコトガ出來ナイデ、顔ヲ赤クスル子供モゴザイマシタ。チャント姿勢ヲヨクシテ、氣ヲ付ケテヰテ、何ヲ聞カレテモ、ハッキリト答ヘル子供モゴザイマシタ。
字ヲ書クノニ、筆ヲ落シタリ、墨ヲコボシタリ、書キソコナッテ、紙ヲ澤山ホゴニシタリスルヨウナ、ソソッカシイ子供モゴザイマシタ。ヨクオチツイテヰテ、少シモ書キソコナヒナドヲシナイ子供モゴザイマシタ。
度々缺席シタリ、遅刻シタリシテ、先生ニ叱ラレタ子供モゴザイマシタ。一日モ缺席モセズ、遅刻モシナカッタ子供モゴザイマシタ。
學校デ先生ニ叱ラレ、友ダチニモキラハレタ惡イ子供ハ、大人ニナッテカラ、大抵ツマラナイ人ニナッテヰマス。
私ハ一タイ子供ガ好きデゴザイマスガ、八九年ノ間ニ、ドウシテモキラヒナ子供ガ、七八人ゴザイマシタ。私ノ體ガ、コンナニ、グラツクヨウニナッタノモ、其ノ子供タチノ、イタヅラカラデゴザイマス。コンナニキタナクナッタノモ、其ノ子供タチガ、澤山、墨ヲツケタカラデゴザイマス。

練習
一、善イ子供ノコトヲオ話シナサイ。惡イ子供ノコトヲオ話シナサイ。
二、次ノコトバヲ讀ンデ、「イ」ト「ヰ」トノツカヒ方ニ注意シナサイ。
   (イ) イト(絲)   イル(入)   ソソッカシイ
   (ロ) ヰド(井戸)   ヰル(居)   マヰル(參)
三、次ノコトバヲ讀ンデ、「ヱ」ト「エ」トノツカヒ方ニ注意シナサイ。
   (イ) ヱ(繪)   ツクヱ(机)   ウヱル(植)
   (ロ) エダ(枝)   フエ(笛)   キエル(消)




   
第二十一課 熊
熊ハ強イ獸デス。人ニ向ッテ來ル時ニハ、後足デ立チ上ッテ、大キナ手ノヒラデツカミカヽッテ、鋭イ爪デヒッカキマス。
熊ノ毛色ハ大概マッKデ、胸ノ所ダケニ、三日月形ノ白イ毛ガアリマス。之ヲ月ノ輪トイヒマス。熊ノ皮ハ美シクテ、良イ敷物ニナリマス。シグマトイフ熊ハ子馬ホドアッテ、力ガ大層強ウゴザイマス。大抵ノ獸ハ一打デ殺サレテシマヒマス。
熊ハイタヅラモノデ、人ノ家カラ、カズノ子ノ俵ヲ盗ンデ、カツイデ逃ゲテ行クコトガアルトイヒマス。
又、川ダタニ行ッテ、魚ヲツカマヘルコトガアリマス。其ノツカマヘタ魚ヲ竹ノ枝ニ通シテ、肩ニカツイデ行キマスガ、後カラ一ツヅツヌケテ落チルノヲ知リマセン。ソレヲ人ガ拾ッテ來ルコトガアリマス。

練習
一、熊ノ形ヤ毛色ハドンナデスカ。
二、熊ノイタヅラナコトヲ文ニオ作リナサイ。
三、次ノコトバヲ讀ンデ、「ズ」ト「ヅ」トノツカヒ方ニ注意シナサイ。
    (イ) カズ(・)ノ子(數ノ子)   スズ(・)リ(硯)   スズ(・)シイ(涼)
    (ロ) ミヅ(・)(水)   ミカヅ(・)キ(三日月)   イタヅ(・)ラ(徒)




   
第二十二課 電話
信吉の叔父は京城で呉服屋をしてゐます。信吉は始めて田舎から叔父の家に來て泊りましたが、見るもの聞くもの、皆珍らしく思はれました。
不意に店の隅で、ちりん\/\/と、ときりに鈴(りん)の音がしました。叔父は、急いで、壁ぎはに備へてある箱のそばに、立ち寄りました。片手にらっぱのような物を握って、それを左の耳にあて、箱に向って、ひとりごとを言ひ始めました。
「はい\/、さようでございます。はあ、清水(しみず)さんでいらっしゃいますか。はい、分りました。反物ですか。只今持たせて差上げます。毎度ありがたうございます。」
信吉は此の樣子を見て、をかしくてなりません。
「叔父さん、それは何ですか。」
と問ひますと、叔父は
「これは電話といふもので、此のらっぱのような物を耳にあてれば、遠方の人のことばも聞え、此の箱の口の所で話をすれば、先方へそれが分る。此の線は、これ、この通り、壁から外へぬけて、それから電柱をつたって、遠くまでつながってゐるのだ。こちらの言葉も、向うの聲も、此の線によって、自然と聞える。それは電氣の力だ。電氣といふものは、重寶なものではないか。」
と言ひました。

練習
一、叔父は信吉に、電話のことについて、何と言って聞かせましたか。
二、次のことばを讀んで、「お」と「を」とのつかひ方に注意しなさい。
    (イ) おかげ(御蔭)   おぢいさん(祖父)
        おばあさん(祖母)   おとうと(弟)   おに(鬼)
    (ロ) をぢ(伯父・伯父)   をば(伯母・叔母)   をかしい(可笑し)
        をととひ(一昨日)   をしへ(ヘ)   うを(魚)
三、次の樣に、「ちょう」「ほう」の書き方に、色々あることに注意しなさい。
        ちょう   ちゃう。てう。てふ。
        ほう    ほお。ほふ。ほほ。はう。はふ。




   
第二十三課 電報
  一
或る夜、京城に火事がありましたので、翌朝、信吉の叔父のところへ、元山の渡邊といふ人が心配して、電報で火事見舞いをよこしました。
   サクヤノカジニゴブジカワタナベ
しかし火事は、信吉の叔父の家からは、よほど離れてありましたのです。
叔父は信吉に
「お前一つ、渡邊さんに上げる返事の電報を書いてごらん。」
と言ひました。
   サクヤノカジニウチハヤケマセンデシタゴアンシンクダサイ
信吉「これでよろしうございませうか。」
叔父「それでは長過ぎる。電報の文は、成るべく、短く書かなければならない。言葉も、電報だから、あまり丁寧に書くことはいらない。又、成るべく、入らぬ言葉を省くがよい。」
   サクヤウチヤケヌゴアンシンアレ
信吉「これでよろしうございませうか。」
叔父「それでもよいが、昨夜、火事のあったことは、もう御存じだから、『サクヤ』と書くには及ばない。又、『ウチ』といふことも入らない。
電報は十五文字までが一音信で、濁った字は二字に數へられるのだ。うちの氏の和田を入れて、十五字より多くならないように書いてごらん。」
ヤケヌゴアンシンアレワダ
信吉「かうすると、ちょうど十四字になります。」
叔父「それでよろしい。それを此のョ信紙」に書いてごらん。『ワダ』は發信人の欄に書いた方がよい。あちらの氏名や居所は何字あっても、料金はいらぬのだ。」

練習
一、釜山から平壤の自分の家へ、五日にかへることを知らせる電報の文をお書きなさい。
二、次の樣に、「さう」を「そう」、「せう」を「しよう」と讀むことに注意しなさい。
    (イ) 習ったさうだ。   樂しさうに。   話さう。   さうして。
    (ロ)勉強しませう。   書きませう。   分るでせう。   いらないでせう。   よろしいでせう。
三、次の樣に、「かう」「たう」「なう」「はう」「まう」「らう」を「こう」「とう」「のう」「ほう」「もう」「ろう」と讀むことに注意しなさい。
     行かう。   勝たう。   少なう。   歌はう。   讀まう。   折り取ろう。

  二
電報は、日本全國、大抵どこへでも出すことができるばかりでなく、又、外國へも出されます。僅かの時間に、遠い所と通信をすることが出來るから、まことに便利です。電報を出すには、郵便局へ行ってョむのです。
電報料は、一音信が、朝鮮内ならば二十錢で、内地へは三十銭です。何れも五字を揩キ毎に、料金が五錢づつ揩キのです。

練習
一、電報料のことをお話しなさい。
二、渡邊から、和田のところへ、よこした電報の料金は、何程でしたか。

  三
(一)信吉の叔父は商人であります。(口語體)
   信吉の叔父は商人でございます。
   信吉の叔父は商人である。
   信吉の叔父は商人だ。
   信吉の叔父は商人なり。(文語體)
   渡邊は和田の親類なり。
   これは火事見舞の電報なり。
(二)大抵どこにも郵便局があります。(口語體)
   大抵どこにも郵便局がございます。
   大抵どこにも郵便局がある。
   大抵どこにも郵便局あり。(文語體)
   こゝにョ信紙あり。
   そこに筆あり。
(三)銀行の隣まで燒けました。(口語體)
   銀行の隣まで燒けた。
   銀行の隣まで燒けたり。(文語體)
   叔父は信吉に電報の文を書けと命じたり。
   信吉は電報を出したり。
(四)和田の家は燒けません。(口語體)
   和田の家は燒けない。
   和田の家は燒けぬ。
   和田の家は燒けず。(文語體)
   今日は雨降らず。
   信吉は遊びに行かず。

練習
次の文語體を口語體に改めてごらんなさい。
   (イ)これは普通學校國語讀本巻七なり。
   (ロ)此の邑内には郵便所あり。
   (ハ)貞童は電報を讀みたり。
   (ニ)福童は缺席せず。



第二十四課 (変体仮名表記のため省略)




   
第二十五課 鹽と砂糖
     一、 鹽
   (口語體)                   (文語體)
(一)鹽は味が鹹(から)い。        (一)鹽は味鹹し。
(二)鹽は色が白い。            (二)鹽は色白し。
(三)鹽は味が鹹くて、色が白い。     (三)鹽は味鹹くして、色白し。
                                  
(一)鹽は、食物を料理するに必要なものである。
(一)鹽は、食物を料理するに、必要なるものなり。
(二)鹽は、味噌・醤油などを造るに、必要なものである。
(二)鹽は、味噌・醤油などを造るに、必要なるものなり。
(三)鹽は、食物を料理するにも、味噌・醤油などを造るにも、必要なものである。
(三)鹽は、食物を料理するにも、味噌・醤油などを造るにも、必要なるものなり。
                                  
(一)鹽は山からも出る。
(一)鹽は山よりも出づ。
(二)我が國では多く海の水から取る。
(二)我が國iにては、多く海の水より取る。
(三)鹽は山からも出るが、我が國では、多く海の水から取る。
(三)鹽は山よりも出づれども、我が國iにては、多く海の水より取る。
                                  
     二、 砂糖
   (口語體)
(一)砂糖は味が甘い。
(一)砂糖は味甘し。
(二)其の色は赤いのもあり、Kいのもあるが、上等の品は白い。
(二)其の色は赤きもあり、Kきもあれど、上等の品は白し。
(三)砂糖は味が甘くて、其の色は赤いのもあり、Kいのもあるが、上等の品は白い。
(三)砂糖は味甘く、其の色は赤きもあり、Kきもあれど、上等の品は白し。
                                  
(一)砂糖は、食物を料理するに、入用なものである。
(一)砂糖は、食物を料理するに、入用なるものなり。
(二)砂糖は、菓子を製するに、入用なものである。
(二)砂糖は、菓子を製するに、入用なるものなり。
(三)砂糖は、食物を料理するにも、又、菓子を製するにも、入用なものである。
(三)砂糖は、食物を料理するにも、又、菓子を製するにも、入用なるものなり。
                                  
(一)砂糖は甘蔗から製したものが最も多い。
(一)砂糖は甘蔗より製したるもの最も多し。
(二)甘蔗は、我が國では、臺灣・四國・九州などに産する。
(二)甘蔗は、我が國にては臺灣・四國・九州等に産す。

練習
次の文を口語體に改めてごらんなさい。
(イ)熊の皮はKくして美し。
(ロ)熊はいたづらなる獸なり。
(ハ)熊は、人の家より、かずの子の俵を盗みて行くことあり。
(ニ)熊は内地にて最も強き獸なり。
(ホ)熊は内地にて最も強き獸なれども、朝鮮にはこれより強き獸あり。それは虎なり。




   
第二十六課 森林(しんりん)

材木・薪・炭等ハ森林ヨリ出ヅルモノナリ。若シ森林ナケレバ、家屋・器具等ヲ作ル木材ヲ得ル所モナク、食物ヲ煮、寒サヲシノグ薪炭ヲ採ル所モナカラン。
又、森林ニハ水ヲ貯フル力アリ。樹木茂レル所ニ降リタル雨ハ、深ク地中ニシミ込ミテ、泉ノ源トナル。
樹木ナキハゲ山ニハ、水ヲ貯フル力ナキ故、平日ハ一滴ノ水モナケレドモ、大雨ノ時ハ水急ニ流レ下リテ、恐ロシキ洪水トナル。
又、土地ニ森林アレバ、夏ハ涼シクシテ、冬モアマリ寒カラズ。森林ハヨク氣候ノ和ラグル効アリ。且ツ山野ニ樹木ノ青々ト茂リタル景色ハ、人ノ心ヲ樂シマシムルコト大ナリ。」
サレバ樹木ヲ植ヱテ森林ヲ造リ、ヨク之ヲ保護スルハ、マコトニ大切ノコトナリ。

練習
一、森林ノ必要ナコトヲオ話シナサイ。
二、森林ガナケレバ、洪水ガ出ルノハナゼデスカ。其ノワケヲ文ニオ作リナサイ。
三、同ジ字ヲ二ツ又ハ三ツ書イテデキタ字ヲ、知ッテ居ルダケ、書イテゴランナサイ。




   
第二十七課 材木
家屋・器具等ハ多ク材木ニテ造ル。
材木ニハ松・杉・樅・檜・栗・欅・桐等アリ。此ノ中、内地ニテ最モ多ク用ヒラルヽモノハ杉ト松ナルガ、朝鮮ニテハ松最モ多ク用ヒラル。」
松・杉・檜・欅ハ、板又ハ柱トシテ、家ヲ建テ、橋ヲカケ、船を造ル等ニ用フ。杉ハ箱・桶・樽ナドヲ造ルニ用ヒ、又、電信柱ニ用フルコト多シ。
栗ハ堅クシテ長ク腐ラザルガ故、家ノ土臺又ハ鐵道ノ枕木ナドニ用フ。
桐ハヤハラカクシテ弱キ木ナレバ、家ヲ建ツル材料トシテハ、其ノ用少ナケレドモ、輕クシテ美シキ故、本箱・箪笥(タンス)・下駄ナドヲ造ルニヨシ。
材木ヲ山ヨリ伐リ出スモノハ杣(ソマ)ナリ。材木ヲヒキテ、板又ハ柱トナスモノハ木挽ナリ。材木ヲ用ヒテ家ヲ建ツルモノハ大工ニシテ、机・本・箱・箪笥ナドヲ造ルモノハ指物師(サシモノシ)ナリ。

練習
一、材木ニハドンナモノガアリマスカ。ソレハ各ゝドンナ役ニ立チマスカ。
二、次ノ文章ヲ口語體ニ改メテゴランナサイ。
   (イ)栗ハ堅クシテ長ク腐ラザルガ故、家ノ土臺又ハ鐵道ノ枕木ナドニ用フ。
   (ロ)桐ハヤハラカクシテ弱キ木ナレバ、家ヲ建ツル材料トシテハ、其ノ用少ナケレドモ、輕クシテ美シキ故、本
      箱・箪笥・下駄ナドヲ造ルニヨシ。
三、杣・木挽・大工・指物師ハ何ヲスルモノデスカ。




   
第二十八課 家
家ニハ石造モアリ、煉瓦造(レンガヅクリ)モアレド、我ガ國ニテハ木造最モ多シ。内地ニテハ、家ヲ造ルニ、多ク杉・松・檜ナドノ材ヲ用フレドモ、朝鮮ニハ杉モ檜モ産セザレバ、多ク松ヲ用フ。
材木ニテ家ヲ造ルニハ、先ヅ、土臺ヲ置キ、柱ヲ立て、桁(ケタ)・梁(ハリ)・棟木(ムナギ)ヲ載セテ、床板ヲ張リ、壁ヲ塗リ、戸・障子ヲ立テ、窓ヲ設ク。温突家屋(オンドルカオク)ニテハ、床板ヲ張ラズシテ、厚ク土ヲ塗リ、其の上ニ紙ヲ張ル。
家ヲ建ツルニハ、濕氣ナキ地ヲ擇ブベシ。濕氣ハ身體ニ害アリ。又、成ルベク日アタリヨキ地ヲ擇ブベシ。日光ハ健康ノタメニ必要ナリ。且ツ家ハ人ノ住居スル所ナレバ、生活スルニ便利ナルヨウニ造ラザルベカラズ。

練習
一、家ノ造リ方ヲ、口語體デ、文ニオ作リナサイ。
二、家ヲ造ルニ注意スベキコトヲオ話シナサイ。
三、次ノ文語體ヲ口語體ニ改メテゴランナサイ。
   (イ)友ヲ擇ブベシ。
   (ロ)友ヲ擇バザルベカラズ。
   (ハ)勉強スベシ。
   (ニ)勉強セザルベカラズ。




   
第二十九課 地方ノ行政
我ガ國ハ、行政上、一道三府四十三縣ニ分タレ、外ニ朝鮮・臺灣及ビ樺太アリ。
一道ハ北海道ニシテ、三府ハ東京・京都・大阪ナリ。」
四十三縣ノ中、長崎・山口・島根・福岡・廣島ノ諸縣最モ朝鮮ニ近シ。
各府縣ニハ府縣廳アリ。北海道ニハ北海道廳、樺太ニハ樺太廳アリ。朝鮮ト臺灣トニハ總督府アリ。
朝鮮ト臺灣トニハ總督ヲ置キ、北海道ト樺太トニハ長官ヲ置キ、各府縣ニハ知事ヲ置ク。
北海道及ビ各府縣ノ下ニハ都市アリ。郡ニハ郡役所ヲ設ケ、郡長ヲ置キ、市ニハ市役所ヲ設ケ、市長ヲ置ク。
郡ノ下ニハ町村アリ。町村ニハ町村役場ヲ設ケ、町村長ヲ置ク。
朝鮮ハ十三道ニ分タレ、各道ノ下ニ府郡アリ、郡ノ下ニ面アリ。道ニハ道廳ヲ設ケ、道長官ヲ置キ、府郡ニハ府郡廳ヲ設ケ、府尹・郡守ヲ置キ、面ニハ面事務所ヲ設ケ、面長ヲ置ク。
カクノ如ク種々ノ役所ヲ設ケ、ソレ\/ノ役人ヲ置クハ、ヨク各地方ヲ治メ、人民ノ幸福ヲ圖ランガタメナリ。

練習
一、我ガ國ハ、行政上、ドウ分タレテ居マスカ。
二、知事・郡長・市長・町長・村長トハ、ドンナ役デスカ。


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