モダン日本 朝鮮版

昭和14年11月/昭和15年8月

株式會社 モダン日本社
發行兼編輯印刷人 須貝正義










モダン日本 第十巻 第十二號
昭和十四年十月十七日印刷
昭和十四年十一月一日發行
    發行兼編輯印刷人 須貝正義
東京都麹町區内幸町二ノ一ノ三 大阪ビル新館八階
發行所 株式會社 モダン日本社
臨時増刊 特價 五十銭
送料  内地 參銭五厘  外地 參拾六銭
印刷所 東京市牛込區榎町七番地 大日本印刷株式會社榎町工場




特輯グラフ
 ◇朝鮮舞踊・三態  ◇秋風裳(チマ)をなぶる  ◇旅のアルバムより……大佛次郎
 ◇見よ!内鮮一體の●●  ◇朝鮮に咲く女優逹  ◇半島風物詩  ◇朝鮮ところどころ……濱本浩
 ◇古跡・時の足跡  ◇家庭生活をのぞく  ◇旅愁……濱本浩(36)
・平壤……加藤武雄(60)
・朝鮮版へのことば
  近衛文麿・南次郎・關屋貞三郎・下村海南・御手洗辰雄・菊池寛……(72)

・内鮮一体論……御手洗辰雄(74)
・内鮮一體と協和事業 …… 関屋貞三郎(78)
・志願兵から見た朝鮮人 …… 鹽原時三郎(82)
・朝鮮の青年逹……菊池寛(86)
・朝鮮經濟界の展望 …… 阿部留太(110)
・朝鮮の工業的躍進 …… 野崎龍七(114)


随筆
・朝鮮をどう見るか …… 宇垣一成(156)
・朝鮮と私 …… 丸山鶴吉(158)

・大院君と食客 …… 松岡正男(162)
・海峡文化 …… 小倉進平(164)
・「朝鮮の印象」の思ひ出 …… 武井守成(167)
・朝鮮の認識 …… 鈴木武雄(168)
・内地人として …… 辛島驍(170)
・白髭明神 …… 下村海南(172)
・金剛山感雜 …… 張赫宙(174)
・鐘路の吊鐘 …… 金來成(176)
・立飲屋のこと …… 金晋燮(179)
・寸旅小感 …… 李軒求(180)

・差異と理解 …… 韓 植(182)

・新しき朝鮮を語る座談會 …… (90)
  濱本浩・加藤武雄・村山知義・關口次郎・池田林儀・東郷青兒・伊藤祐司・伊藤宣二・馬海松
・ハガキ回答 朝鮮と私 …… (252)
   水野錬太郎 窪川稲子 伊藤永之介 清水幾太郎 川上喜久子 下村海南
   山本實彦  矢野貞祐 赤松克麿 鶴見祐輔 伊藤整  今日出海
   阿部知二  森谷克巳 安部磯雄 小野賢一郎 秋田雨雀 藤森成吉
   飯島正 末川掾@打木村治 三島雅夫 湯浅克衛 秦豊吉
   青野季吉 中村武羅夫 小林 一三 清澤洌 河崎なつ 保高徳蔵
   桑木嚴翼 神近市子 佐佐木茂索  福田人


・妓生の美(繪と文) …… 山川秀峰(88)
・朝鮮の山々(繪と文) …… 足立源一郎(264)
・妓 生 ……(繪と文) …… 東郷青兒(221)

・コント 内地見せたや
・みすず刈る小屋(矢崎茂 四畫) …… 三好達治(134)
・名物・たべもの(杉浦幸雄 畫) …… 辰野九紫(135)
・自慢のキモノ(石川義夫 畫) …… 美川きよ(137)
・銀座の鶴(石川進介 畫) …… 伊馬鵜平(139)
・葉書回答・内地人に知って貰いたい事 ・内地人に言ひたい事

・モダン日本についての感想及び希望 ……(152)
  秦學文 金浩永 安浩相 金晟鎭 鄭烈模 金勝文 鄭寅翼 朴春琴
  咸大勲 金東煥 安東赫 李載明 李●根

傳説
・春香傳 ……(222)
・沈清傳 ……(226)
・朝鮮旅行案内(産業人ノ爲) ……(338)
・汽車時間表 ……(351)
・朝鮮讀本……(212)
・興亞の交通、北鮮三港(羅津 清津 元山)、禿山、米、金、いわし、内鮮一體、志願兵、教育 ……(212)
・海外で名を擧げた人々 …… 邊成烈(128)
・朝鮮家庭婦人の生活ぶり …… 田煕福(142)
・妓生學校では何を教へるか …… 韓載コ(250)
・朝鮮映畫を語る …… 筈見恒夫(250)

いろページセクション
・扉(長房壺) …… 中村篤九(195)
・零下三十度寒稽古 …… 玉川一郎(198)
・朝鮮服の作り方 …… 三井秀夫(204)
・先生はチョンガー …… 多摩二郎(200)
・朝鮮禮儀作法百般縮刷版 …… (196)
・永嘉臺の夜 …… 安井三吉(202)
・朝鮮千夜一夜 …… (208)
・朝鮮語早わかり …… (210)
・ラブレター ……横井福次郎(206)
・きせる …… 矢崎茂四(207)
・よく似た帽子 …… 石川義夫(199)
・帽子の代り …… 益子善六(196)
・よろず・あすくあす …… (200)
・物知り大學 ……(196)
・アリラン歌詞集 ……(202)

・平讓妓生・内地名士を語る座談會……(242)
我が朝鮮交遊録
 ・崔承喜その他 …… 石井漠(234)
 ・朝鮮の友人達 …… 村山知義(236)
・北支戰線を巡りて …… 林學洙(230)
・「麥と兵隊」を朝鮮語に譯して …… 西村眞太郎(146)
・朝鮮の作家を語る …… 金史良(260)

・朝鮮藝術賞設定 ……(340)

 ・鳳仙花 …… 朱耀翰 ……(120)
 ・蝶と海 …… 金起林 ……(121)
 ・薔 薇 …… (女流)毛允淑 ……(123)
 ・うたごゑ …… 金素月 ……(123)
・焚 火 …… 白 石 ……(124)
・白鹿潭 …… 鄭芝溶 ……(125)
・面影(おもかげ)……大佛次郎(186)

創 作
 ・蕎麥の花の頃 …… 李孝石(266)
 ・鴉(からす) …… 李泰俊・朴元俊譯(276)
 ・無 明(むめい) …… 李光洙・金史良譯(290)

・朝鮮百人物 ……(344)
・朝鮮百人物懸賞當選發表 ……(343)
・特別懸賞大募集 ……(342)
編輯後記……(354)




モダン日本 第十一巻 第九號
昭和十五年七月十二日印刷
昭和十五年八月一日發行
     發行兼編輯印刷人 須 貝 正 義
東京都麹町區内幸町二ノ一ノ三 大阪ビル新館八階
發行所 株式會社 モダン日本社
定價 一部      四十銭(二銭五厘)
    三月分 一圓二十銭(送料共)
    半年分 二圓四十銭(送料共)
    二年分 四圓八十銭(送料共)
臨時増刊 特價 五十銭
送料  内地 參銭五厘  外地 參拾六銭
印刷所 東京市牛込區榎町七番地 大日本印刷株式會社榎町工場

表紙 …… 文藝峰
目次 …… 李仁星
扉   …… 金仁承

・特輯グラフ  ◇ミス朝鮮・朴温實  ◇日比谷公園に現れた京城妓生   ◇宋秋蓮  ◇朝鮮新八景
          ◇名士旅のアルバムより・村山知義  ◇朝鮮古典舞踊解説・関良舞(韓成俊)  ◇妓生の一日
          ◇伸び行く朝鮮  ◇ミス朝鮮當選發表  ◇風俗朝鮮  ◇朝鮮人參の出來るまで
          ◇妍を競ふステーヂの花  ◇半島の學園

・畫譜 盧壽鉉・金仁承・沈亨求・崔永秀・李承萬・荒井龍男・李仁星・大木卓
・南總督は語る本誌記者との對談録 ……(36)
・朝鮮に於ける皇國臣民化運動 …… 鹽原時三郎 (46)
・朝鮮産業界の將来 …… 松原純一 (52)
・歴代朝鮮總督を語る …… 井上收 (146)
・朝鮮産業十人男 …… 李允鐘 (167)

随筆
・朝鮮随感 …… 菊地寛 (72)
・朝鮮の民藝 …… 柳宗悦 (73)
・金剛山神渓寺 …… 關口次郎 (74)
・朝鮮の旅の宿 …… 下村海南 (76)
・文化の自由性 …… 李克魯 (77)
・謙讓の精神 …… 安含光 (79)
・朝鮮のローカル・カラー …… 鄭寅燮 (80)
・雑 記 …… 馬海松 (232)

古典特輯
・朝鮮古貨幣の概革 …… 柳子厚 (82)
・朝鮮古代の美術工藝 …… 高裕燮 (91)
・京城の十日間 …… 島木健作 (56)
・思ひ出すまヽ …… 湯浅克衛 (58)
・佛國寺にて …… 張赫宙 (60)
・朝鮮見たまヽの記 …… 福田清人 (63)
・我が交友録 …… 李光洙 (136)
・朝鮮交友録 …… 池田林儀 (139)

・朝鮮の今昔を語る座談會 …… (96)
・葉書回答 朝鮮人が内地人に誤解され易い点
  李孝石、金台俊、金東仁、申南K、具本雄、朴景嬉、徐光齊、
  兪鎭午、柳子厚、李淑鐘、朴基采、安東赫、宗今旋、李家源甫 …… (132)

傳説
・洪吉童傳 …… (120)
・淑英娘子傳 …… (124)
・京城の思ひ出(繪と文) …… 伊東深水 (44)
・漢 江(繪と文) …… 石井柏亭 ……(118)
・朝鮮の現代美術(繪と文) …… 伊原宇三郎 (144)
・淡い色合いの朝鮮娘(繪と文) …… 小野佐世男 (236)

現地報告
・京城盛り場探訪記 …… A記者 (190)
・瓮津鑛山見學記 …… B記者 (156)
・朝鮮の小島の春(小鹿島探訪記) …… C記者 (128)
・志願兵訓練所訪問記 …… D記者 (152)
・京城學生々活ルポルタージュ …… E記者 (178)

・朝鮮藝術賞審査員決定 ……(43)

・朝鮮に關する書籍案内 ……(211)
・夏向きの朝鮮料理 …… 宋今旋 (178)
・京城一流妓生資産番付 ……(193)
・朝鮮都市便り(二十都市) …… (248)
・内鮮滿支連絡時間表 …… (335)
・躍進する朝鮮映畫陣(勝利の庭、新開地、福地萬里、水仙花、ドルセ、大地の子) ……(238)

・朝 鮮 讀 本
  産米増産計畫、日滿輸送陣、世界一の鴨緑江水電、話題の北鮮三港、
  創氏、文人協會、スポーツ、愛國班、金剛山地下資源 ……(160)
・移り燮わる京城の街 …… エミール・マーテル (184)
・朝鮮には舶來の博士が多い …… 伊庭數彦 (228)
・運動界に氣を吐く朝鮮の人達 …… 宇野庄治 (230)
・東京で活躍してゐる半島の人々 …… 金浩永 (224)
・北鮮から南鮮へ …… 岩島二郎 (186)

いろページセクション
・彌勒石 ……(196)
・朝鮮服の活し方 ……(206)
・朝鮮の童話 ……(204)
・東京に現れたモントングリ …… 盧壽鉉 (196)
・風流朝鮮1(朝鮮の嘘倶楽部) …… 狐帆 (198)
・風流朝鮮2(女房がこわい) …… 李瑞求 (200)
・キンコウ傳(漫畫) …… 中村篤九 (208)
・舊都慶州行 …… 橋本秀人 (203)
・朝鮮映畫界を背負ふ人々の座談會 …… (240)

内鮮問答
・内地の知識階級に訴へる …… 宋今旋 (172)
・麻生久先生足下 …… 金基鎭 (173)
・親愛なる内地作家へ …… 崔貞煕 (174)
・大衆藝術に就て …… 濱本浩 (175)
・朴雪中月君へ …… 東郷青兒 (175)

朝鮮百問百答
・半島の新劇界を展望する …… 徐恒錫 (246)
・朝鮮文壇の近況 …… 韓 植 (252)
・朝鮮女学生座談會 …… (214)


・白魚のやうな白い手が …… 朴鐘和 ……(66)
・螢 …… 金尚鎔 (67)
・罪 …… 金東煥 (68)
・西 關 …… 金億 (69)
・哈爾賓驛にて …… 朴學洙 (70)

創作
・路は暗きを …… 朴泰遠 (254)
・村の通り道 …… 金東里 (270)
・心 紋 …… 崔明翊 (284)

・朝鮮總督府協賛 朝鮮行進曲懸賞募集 …… (51)
・ミス朝鮮當選發表 …… (212)
・特別大懸賞募集 …… (195)


     
朝鮮藝術賞設定

朝鮮藝術振興のため此度菊池寛氏より毎年資金提出の申出がありましたので、本社では菊池寛氏の意を體し、別項規定の如き「朝鮮藝術賞」を設定いたしました。大方の御協賛を冀ふ次第であります。

 昭和十四年十月  モダン日本社

主旨 本賞ハ我國文化ノタメニ朝鮮内ニ於テ爲サレタル各方面ノ藝術活動ヲ表彰スルコトヲ以テソノ目的トス。

略規

一、授賞撰定ノ範圍ハ、朝鮮内ニ於テ發表サレタル、文學、演劇、映畫、舞踊、音樂、會畫等ノ分野トス。

一、授賞ハ、一年一囘一部門ニ限リ、一人或ハ一團體ニ、賞牌及金五百圓也贈呈スルモノトス。

一、授賞詮衡ノタメ朝鮮京城並ニ東京ニ朝鮮藝術賞委員會ヲ設置ス。

   但シ文學作品ノ場合ハ芥川賞委員會ニ委嘱ス。

一、委員會ハ、各藝術分野ヨリ、最モ優秀ナル藝術作品或ハ藝術活動ヲ詮衡シ、更ニソノ中ヨリ、本賞ノ主旨ニ添ヒタル唯一ヲ、決定スルモノトス。

一、朝鮮藝術賞ハ、ソノ作品又ハ活動ノ制作者或ハ制作團體ニ授與ス。

一、授賞ハ前年一月ヨリ十二月マデヲ一期間ト定メ、ソノ期間中ノモノニ對シ詮衡ノ上、翌年三月決定發表スルモノトス。

   (第一囘ノ期間ハ昭和十四年一月ヨリ十二月マデトス)

 朝鮮藝術賞 第一囘授賞は來年三月モダン日本四月號に發表


   
鳳仙花          朱耀翰 (金鐘漢 譯)


 朝鮮の乙女らは、ほうせんくわの紅(あか)い花びらで爪(つめ)を染(そ)めるのです。

死んでなるなら
ほうせん花(くわ)。

きみの窓邊(まどべ)に
まつかに咲いて

流血(ちしほ)で染(そ)めたや
きみの爪(つめ)


    
と海          金起林(金素雲 譯)

誰も水深をおしへたものがないので
白い蝶は 海の怖れをまだ知らない。

あをい大根畠かと 下りていつては
いたいけない羽を 波がしらに浸し
王女のやうに 打ちしほれてかへる。

三月の海原(うなばら)に咲く花のないうらはかなさの
蝶の蝶の背に 蒼白い初月が沁みる。


    
薔 薇          毛允淑(女流)(金素雲 譯)

わがこゝろの片邊(かたへ)
ひそやかなる 蔭にぞ
薔薇(さうび)は咲く。

夜闇(よるくら)からず
星遠からず
薔薇(さうび)は 夜(よる)も いねざるなり。

杜(もり)なき野、
空の拓(ひら)けざる道、
風の通(かよ)はざる丘、
薔薇(さうび)は黝き江邊にぞ立つ。

爾(なれ)が根(ね)は吾がいのちに倚りたり
吾が眼閉(まなことざ)さるゝ前に爾(なれ)は得去らじ。

爾(なれ)は吾が裡に在りてぞ咲く、
春なく、雨なく、空なきところ
幸薄(さちうす)き 吾がこゝろに宿りてぞ咲く。
            ×
夜闇(よるくら)からず、
星遠からず、
爾(なれ)は夜(よる)もいねざるなり。


    
うたごゑ          故金素月(明治三六 ― 昭和九年)(金素雲 譯)
                   
よきひとの うたごゑは
こゝろにぞ濡れそぼる。

ひねもすは外(そと)に佇(たゝず)み
きゝまもる うたのしらべの
暮れなづむ 夕べの耳に
はた よるのゆめに沁むなる。

あはれ かのうたの 細音(ほそも)に
熟睡(うまい)こそ いよよ深しや
ひとりねの 侘ぶる臥床(ふしど)も
さながらに ゆめのはなぞの。

しかすがに 醒めてののちの
うたひとつ あらぬ憂(う)たてさ、たてさ、
うつゝこそ 如何にせつなき
かのうたの きゝつゝわする。


    
編輯後記

●モダン日本十周年記念臨時増刊「朝鮮版」は、今や朝鮮半島が軍事的、經濟的、文化的に大陸に結ぶ足場として、その重要性が叫ばれ、朝鮮の認識は絶對となり、識者は言ふに及ばず、全國民の愛國的關心が澎湃として起る際に、その刊行は時局に適した絶好のものとして、朝鮮總督府を初め朝野名士擧って賛同、全國的な支持聲援は正に國民運動の一つの現はれたる觀を呈した。その要望に應へるべく本社は全員一丸となつて決死的努力をつゞけ、遂に豫期以上の美事な成果を得たことは、愛讀者諸氏のひとかたならぬ聲援にあづかるものとして、心から感謝申し上る。

●本誌について特筆すべきは別項に掲げた通り「朝鮮藝術賞設定」だ。將來朝鮮文化振興に微力ながら寄與することが出來れば幸である。

●本誌發刊發表と同時に懸賞募集した「朝鮮百人物」は俄然人気沸騰し、本社を轉古舞させたが、別項の通り劃期的な發表を見た。

●先ず、小誌刊行を祝して、前朝鮮總督宇垣一成、關屋貞三郎、丸山鶴吉、初め、多數の内地、朝鮮名士の眞摯な感銘深き随感をいたゞいたことを申上げたい。御手洗辰雄氏の「内鮮一體論」、京城日報副社長として朝鮮に深い理解を持つ氏の含蓄のある言葉をよく味つていたゞきたい。朝鮮の經濟産業の現状は斯界の權威阿部留太、野崎龍七諸氏から手に取るやうに汲み取ることが出來る。

●創作陣は大佛次郎、加藤武雄、濱本浩の颯爽たる一流作家が、つぶさに朝鮮を視察し、朝鮮に取材した異色ある傑作を寄せられる、一方、朝鮮文壇詩壇で文名を馳せてゐる李光洙・李泰俊・李孝石・朱耀翰・白石・金起林・金素月・毛允淑・鄭芝溶諸氏が得意な力作を以つて、内地文壇に大石を投じ挑戦した文學史上特筆すべき事象であつて必ずや内地文壇にセンセーションを起させることと思ふ。

●現實の朝鮮に生活し、或ひは親しく歩いた具眼の名士が集つて「新しき朝鮮を語る座談會」を開く。朝鮮の生々しい現實が頼しい力となつて浮びあがる。配するに「妓生が内地の名士を語る座談會」は妓生の本場平壤一流どころがずらりとならぶ大盡顔まけの顔ぶれで、内地名士の行状をかたつぱしから痛烈に暴露した.名士達にとつては青天霹靂の座談會で、恨まれることを覺悟の上で敢へて掲載したものである。

●朝鮮の代表的傳説春香傳を初め、それに優る美しい愛怨無限の物語りの紹介、朝鮮讀本、内地を紹介するコント、志願兵から見た朝鮮人、朝鮮の作家を語る、朝鮮交遊録、妓生學校では何を教へるか等々、見たい、聞きたい讀物の大進軍である。

●本朝鮮版こそは物語に、記事に、漫畫に、朝鮮文化をあらゆる角度から攝取したエンサイクロペジアである。別項の特別大懸賞の問題も面白く、愛讀者諸兄姉の好伴呂たることは愛讀者諸君が説明してくれるだろう。

モダン日本 第十一巻第九號 臨時増刊・朝鮮版


     
白魚
のやうな白い手        朴鐘和

白魚(はくぎょ)のやうな 白い手が
六絃琴(コムンゴ)の絃(いと)を走るとき
スルロン・チン・タン・トン……
の、ひとくさり

紅(あか)い唇(くち)から あふれ出る
雲のやうな うたごゑは
ジ・ファ・ザ……ジ・ファ・ザ……
で、夜が更(ふ)ける

眼(まな)ざしは 遠い湖水(みづうみ)
たびびとの 胸に愁(かな)しく
スルロン・チン・タン・トン……
ジ・ファ・ザ……ジ・ファ・ザ……

  註。どうか“s-r-lung,ting-tang-tong”と發音してください。




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