半島に渡った日本語・日本語文学 「資料編」




 CONTENTS
文学賞(「朝鮮芸術賞」「国民総力朝鮮連盟文化表彰」「国語文芸総督賞」)
創始改名表

韓国内図書館入手和書目録(随時更新)
本ページは、朝鮮半島の日帝統治下における言語政策(あるいは内鮮一体化政策)の「資料編」として、作成者の関心項目に従って構成していきます。
 陸軍大将南次郎(元陸軍大臣・元関東軍司令官)の第7代総督時代(1936.8〜1942.5,昭和11年〜18年)になって、旧朝鮮内では「内鮮一体」(皇民化)・「国体明徴」政策が加速していきますが、それに伴って朝鮮語は教育の現場から抹殺されてゆき、日本語は朝鮮において日常生活のなかでも「国語」としての位置を確立していきます。
 本ページでは、そうした過程の中から作成者の関心を項目立て、手持ちの資料を随意テキスト化していくことにしました。資料が韓國語の場合には、作成者が断りなく任意に翻訳してあります。
 ところで、この時期の「国語」とは朝鮮語のことではなく日本語をいい、また「国民」といった場合にも、併合下にある旧朝鮮人の人々を「日本国民」としています。すると、「国文学」というものを「国語で書き表された文学」あるいは「日本国の文学」と解釈した場合、この時期に「国語」で書かれた旧朝鮮人作家による作品を、日本の「国文学」あるいは「日本文学」と呼ぶべきか(あるいは呼べるか)どうかという問題が殘ります。
 日本語で書かれた文学作品、それを韓國では「親日文学」と表現していますが、しかし本ページでもそれに倣って「親日文学」と表記すると、すでに現代韓國において固着したイメージ、イデオロギーから自由でありえず、作成者が意図するところのテキスト化の意味を失うことになるため、本ページではその表現に倣うことはしませんでした。本ページの表題において、こうしたところをどう表現すべきかについて悩みましたが、便宜上、旧植民地下における「国語」は「日本語」として、そして旧朝鮮人作家の日本語による文学作品は「日本語文学」として、従来の「日本文学」とは区別することにしました。ただ、本ページ内の翻訳文において、今後そのような問題が生じた場合は原文表記のままとしました。
 なお、上記文において、日帝統治下の従来的な呼称である「朝鮮」については「旧朝鮮」とし、「朝鮮人」については「旧朝鮮人」と表記することにしてあります。



   

朝鮮藝術賞(1939.10 朝鮮藝術賞委員会)
主  旨 朝鮮芸術振興のため、朝鮮内における各方面の芸術活動を表彰することを目的とする。各芸術分野より、もっとも優秀な芸術作品あるいは芸術活動を選考し、再びその中から本賞の主旨に附合する作品・作家あるいは団体に授与する。その選考のため、京城及び東京に「朝鮮藝術賞委員会」を設置し、文学作品である場合には芥川賞委員会に委嘱する。
対  象 朝鮮内において発表された文学、演劇、映畫、舞踊、音楽、会話等の分野で、前年の1月から12月までの期間中のものにたいして選考した後、翌年3月に決定、発表する。
基  準
設置団体 朝鮮藝術賞委員会(資金は毎年菊池寛が拠出し、株式会社モダン日本社が設置 )
第一回
1940.3
李光洙『無明』
審査委員 (全般)菊池寛
(文学)久米正雄・佐藤春夫・宇野浩二・横光利一・川端康成・瀧井孝作・山本有三・佐々木茂索・谷崎潤一郎・小島政二郎・室生犀星・菊池寛
(映畫)長谷川如是閑・谷川徹三・中村武羅夫・濱本浩・岩崎昶・筈見恒夫・飯島正・板垣鷹穂・内田岐三雄
(演劇)藤森成吉・村山知義・関口次郎・秋田雨雀・長田秀雄・北村喜八
(美術)石井柏亭・結城素明
(音楽)山田耕作・近衛秀麿・田村虎蔵・増澤健美・小松耕輔・野村光一・堀内敬三・太田綾子・萩原英一・鈴木乃婦子
(舞踊)石井漠・高田せい子
第二回
1941.4
文学:李泰俊(受賞作不詳)
会話:高羲東(受賞作不詳)
舞踊:韓成俊(40.7の日比谷公会堂にての公演その他)
審査委員 ※第二回審査より、審査が朝鮮文人協会に委嘱されることとなった。
鄭寅燮・杉本長夫・金東煥・辛島驍・李泰俊・寺田瑛・愈鎮午・李孝石・百瀬千尋・柳致眞
第三回 不明
第四回
1943.3.20
文学・李無影『青瓦の家』
美術:盧壽鉉(42.10の個展、とくに作品「華陽洞」にたいして)
演劇:移動劇団第一隊(42.11までの201箇所259回の公演の功績にたいして)
音楽:咸和鎮(「聲」制作、朝鮮雅楽補修、満州国宮廷部の要請で雅楽器ハンボルを製作した功績その他)
第五回
1944.4.25
文学:松村紘一 詩集『手に手を』
美術:李像範
第六回
1945.5.8
文学:朴鐘和(受賞作不詳)
音楽:厚生榮團(受賞作不詳)
審査委員 香山光郎・松村紘一・金村八峯・石田耕造・齋藤清衛・辛島驍・山田忠次
國民總力朝鮮聯盟文化表彰(1942)
主  旨 朝鮮における「国民文学」の向上発展に資する優秀な作品(文学・美術・音楽・舞踊・演劇・映畫・図書)にたいして授与する。
種  類 ・国民総力朝鮮連盟文化賞 ・国民総力朝鮮連盟文化推薦 ・国民総力朝鮮連盟文化紹介
委  員 委員長 矢鍋永三郎
委員 信原聖・八木信雄・古川兼秀・本多武夫・倉島至・桂b淳・山之内二郎・黒木剛・八幡昌成・今村豊・尾高朝雄・津田剛・辛島驍・浅川伯教・徐椿・寺田瑛・萩山秀雄・宮本和吉・田中豊蔵・竹井廉
監査 西山力・田中初夫
受  賞
(1942.3.20)
・文化推薦賞 「志願兵行進歌」(キング・レコード会社・日本雄弁会講談社製作)
・文化推薦賞 崔承喜「武魂」
・文化紹介賞 「皇國女性の鑑」(京城公立第二高等女学校編及発行)
・文化紹介賞 『太陽の太鼓』(ビクター蓄音器会社製作)
國語文藝總督賞(1943年創設 賞:賞状及び副賞1000円)
対  象 各年度に発表された小説・戯曲・随筆など文芸作品全般から最優秀作品1篇。
基  準 日本精神に立脚する国語作品であるもの。民衆啓発の宣伝効果が良好なもの。芸術的内容が豊富なもの。
設置団体 國民總力朝鮮聯盟
第一回
1943.4.3
金村龍濟『亞細亞詩集』 (他最終候補作: 牧洋 『静かな嵐』、佐藤清『碧靈集』)
受賞理由 日本精神が一貫しているだけでなく、円熟した文学的形式を備えていてる。
國語文藝聯盟賞
1943.4.5
牧洋 『静かな嵐』
受賞理由 朝鮮半島の知識人が皇民化する過程を描き、半島文壇の国語化を確立し、戦時下の半島文化推進に大きく寄与した。
選考委員 総督府総務局長・同情報課長・同図書課長・同情報課事務官・同調査官・同図書課事務官・朝鮮軍報道部長・津田剛(国民総力朝鮮連盟部長)・寺本喜一(連盟文化課長)、芳村香道・齋藤清衛・辛島驍・寺田瑛・愈鎮午・柳致眞・白鐡・杉本長夫・楠田敏郎
第二回
1944.3.15
石田耕造
受賞理由 雑誌『國民文学』を通じて日本精神に接することを提唱した努力と功績及び『転換期の朝鮮文學』のため。
選考委員 総督府情報課長・同調査官・同保安課長・同事務官・同學務課長・同教學官・朝鮮軍報道部長・海軍武官松本大佐・国民総力朝鮮連盟弘報部長・同文化課長・同参事寺本喜一・文報理事長辛島驍・寺田瑛(随筆)・愈鎮午(小説)・柳致眞(戯曲)・崔載瑞(評論)・百瀬千尋(短歌)・松村紘一(詩)・山田忠次(俳句)・寺田良之助(川柳)・芳村香道(文報)・齋藤清衛・楠田敏郎・大家虎之助・長崎祐三・竹葉秀雄
第三回
1945.3.22
鄭人澤
受賞理由 『武山大尉』『清凉里界隈』等において、国語文学とくに戦争文学に多大な功績を残した。
選考委員 不明


     
創氏改名表
お断り: この項目は、旧朝鮮植民地下における悪政創氏改名政策期の日本近代「日本語」文学を研究するに際して、なにかしらの参考となるために作成しているもので、けっして親日派人物の来歴を曝け出すという目的で作成しているものではありません。いかなる事情があろうとも、抑圧された地において、創氏改名を心から支持するものがいようはずがないからです。なお、分類は作家によっては活動が多岐に跨るためにあくまでも便宜上のものとしています。作成者の調査で判明した範囲において、随時追加していきます。



文 学
金起林=金野起林(詩)
金龍濟=金村龍濟(詩) 中央大学
金東煥=白山青樹(詩)
金東仁=東文仁(小説)
金基鎮=金村八峯(小説)
金士永=清川士郎(小説)
金聖a=宮原惣一(小説)
金文輯=大江龍之介(評論)
金素雲=鐡甚平(詩人、随筆) 東京開成中学
李光洙=香山光郎(小説)
李石薫=牧洋(小説)
李允基=大村謙三(小説)
朴英煕=芳村香道(評論)
朴世永=木戸世永(詩人)
鄭鐘元=岩谷鐘元(評論)
鄭寅燮=東原寅燮(評論)
朱耀翰=村松紘一(詩、朝鮮文人報国会理事、満州国芸文家協会朝鮮代表)
張赫宙=野口稔(小説)
崔載瑞=石田耕造(評論)
趙演鉉=徳田演鉉(評論)
白 鐡=白矢世哲(評論)
尹斗憲=平沼文甫(評論)
池奉文=池丙奉文(小説)
映画・演劇
金寛洙=岸本寛(朝鮮演劇文化協会常務理事)
金漢秀=金澤秀典(映畫興行社長)
金赫=矢野赫彦(劇団有楽座代表)
李瑞求=牧山瑞求(朝鮮演劇協会々長)
李 哲=青山哲(朝鮮演芸協会々長)
李曙郷=木元是之(演出)
朴慶浩=香村實(朝鮮交響管鉉楽団指揮者)
安夕影=安田榮(映畫俳優・監督、朝鮮映畫人協会理事)
安鐘和=安田辰雄(映畫俳優・監督、朝鮮映畫人協会々長、著『韓國映畫側面秘史』)
安英一=安部秀樹(朝鮮演劇文化協会理事)
許 泳=日夏英太郎(京都新興キネマ監督)
趙澤元=福川元(大日本舞踊連盟理事)
言 論
金東進=金本東進(毎日新報社専務取締役)
金斗禎=金子斗禎(全鮮思想報国連盟幹事)
李聖根=金川聖(毎日新報社々長)
李昌洙=國本昌洙(毎日新報社調査部長)
李久鐘=宮村久鐘(毎日新報社論説委員)
李晟煥=安興晟煥(言論報国会常務理事)
李永根=上田龍男(緑旗連盟理事、言論報国会評議員)
盧u亨=瑞原u亨(『新時代』社初代社長、博文書館主人)
盧聖錫=瑞原聖(『新時代』社二代社長)
盧昌成=八幡昌成(放送局第二放送部長)
崔 麟=佳山麟(毎日新報(聞?)社々長)
徐 椿=大川滋種(毎日新報社主筆、朝鮮文化社々長)
文明g=文明g一郎(『朝鮮新聞』社長)
「相河=星野相河(緑旗連盟理事、言論報国会評議員)
尹元赫=平沼元赫(緑旗連盟役員)
政治家
朴正煕=高木正雄(大統領)



韓国内図書館入手和書目録
以下は、作成者の関心のままに韓国内図書館にて複写入手した和書目録です。随時更新していきます。
朝鮮案内
・『最新朝鮮移住案内』 山本庫太郎著 民友社 明治37年6月
・『朝鮮渡航案内(最近韓國事情)』 天野誠齋著 新橋堂 明治37年5月
・『最新韓國事情』 岡庸一著 明治38年 8月
・『最新韓國事情要覧』 統監府 明治42年5月
・『訂正増補 最近朝鮮要覧』 朝鮮雑誌社編纂 日韓書房 明治43年11月
・『京城と内地人』 岡良助著 日韓書房 明治43年12月
・『京城案内』 青柳南冥著 朝鮮研究會 大正2年4月
・『朝鮮鐡道旅行案内(附金剛山遊覧の栞)』 朝鮮總督府鐡道局 大正4年9月8日發行
・『朝鮮鐡道旅行便覧』 朝鮮總督府編纂 大正12年12月25日發行
・『朝鮮に於ける立身出世の道(就職成功指針・學校と職業の案内)』 朝鮮社會事情調査會 大阪屋號書店 昭和2年11月7日發行
・『朝鮮讀本』 池田秀雄・平井三男著 松山房 昭和4年10月26日發行
・『朝鮮年鑑』 京城日報社 昭和14年10月


文 学
・『朝鮮文學傑作集』 大阪屋號書店 大正13年11月10日發行
・『夫は警備に』 横山正士著 正光社 昭和元年12月
・『朝鮮風土歌集』 市山盛雄編 眞人社 昭和10年1月 發行
・『日本文學研究 京城帝国大学文學會論纂第二輯 大阪屋号書店 昭和11年3月發行
・『モダン日本 朝鮮版』 昭和14年11月 第10巻 第12號
・『モダン日本 朝鮮版 臨時大増刊』 昭和15年8月 第11巻 第9號
・『朝鮮文學選集 第一巻』 張赫宙編著 赤塚書房 昭和15年3月10日發行
・『朝鮮文學選集 第二巻』 張赫宙編著 赤塚書房 昭和15年9月20日發行
・『朝鮮文學選集 第三巻』 張赫宙編著 赤塚書房 昭和15年12月10日發行
・『石の鐘』 鐡甚平著 東亞書院 昭和17年6月20日発行
・『半島の朝』 湯浅克衛著 三教書院 昭和17年7月10日發行
・『転換期の朝鮮文学 崔戴瑞著 昭和18
・『新半島文学選集』(國民文学作品第1輯) 石田耕造編 人文社 昭和19年5月発行
・『新半島文学選集』(國民文学作品第2輯) 石田耕造編 人文社 昭和19年12月発行

人名録その他
・『在韓人士名鑑 中田孝之介著 木浦新報社 明治38年6月 發行
・『在韓實業家名鑑』 日韓商業興信所蔵版 日韓商業興信所 明治40年9月 發行
・『朝鮮紳士名鑑 日本電報通信社京城支店 明治44年5月
・『朝鮮在住内地人實業家人名辞典 第一編』 川端源太郎編 朝鮮實業新聞社 大正2年10月発行
・『在朝鮮内地人紳士名鑑 朝鮮公論社編纂朝鮮公論社 大正6年6月 發行
・『職員録追録』 大正12年6月 發行
・『会員名簿 昭和三年 釜山商業會議所 昭和3年發行
・『朝鮮人名録 京城日報社 昭和14年10月
・『釜山繁榮會々員名簿』 明治41年5月發行
・『釜山名士録(附銀行会社名鑑)昭和10年版 釜山名士録刊行会 昭和10年4月發行

随筆・紀行
・『半島の山と風景 竹中要著 古今書院 昭和13年7月
・『随筆朝鮮 上・下 寺田壽夫編 京城雑筆社 昭和10年10月
産 業
・『韓國鐡道線路案内 統監府鐡道管理局 明治41年4月發行
・『朝鮮鐡道史 全 朝鮮総督府鐡道局 大正4年10月發行
・『朝鮮鐡道史 第一巻 創始時代』 朝鮮総督府鐡道局 昭和12
・『京城協賛會報告 始政五年記念朝鮮物産共進會 京城協賛會残務取扱所 大正5年3月發行
・『朝鮮人の商業』 朝鮮總督府 大正14年5月發行
・『朝鮮専賣史 第一巻』 朝鮮總督府専賣局 昭和11年7月
・『朝鮮専賣史 第二巻』 朝鮮總督府専賣局 昭和11年7月
・『朝鮮専賣史 第三巻』 朝鮮總督府専賣局 昭和11年7月
・『朝鮮林野調査事業報告 朝鮮総督府農林局編纂 昭和13年3月發行
・『朝鮮總督府キネマ』 朝鮮總督府官房文書課 昭和14年10月25日發行
・『釜山港勢一班 相澤仁助編 日韓昌文社 明治38年8月發行
・『釜山居留民団植林誌』 釜山居留民団役所 大正元年10月

宗 教
・『朝鮮神宮紀』 大正15年
・『龍頭山神社史料 山川鵜市著 龍頭山神社社務所 昭和11年10月
歴 史
・『朝鮮年代記』 奥田抱生著 吉川弘文館 明治43年9月
辞 書
・『鮮満植物字彙 村田?麿著 成光館書店(東京) 昭和7年2月


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